東芝とWestern Digital の法廷闘争

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Western Digital が、ICC 国際仲裁裁判所の決定が下るまでの暫定措置として、東芝と共同で運営する3つのNAND型フラッシュメモリ合弁事業売却の予備的差し止めを求めた 裁判で、San Francisco County Superior Courtは7月14日、審問を開いたが、結論を持ち越した。次回の審問は7月28日に開く。

2017/7/15 米裁判所、東芝メモリ売却に関し結論持ち越し

両社はこれを含めて4つの仲裁・訴訟を行っている。概要を下記にまとめた。

事実関係は次のとおり。

JV契約は、東芝とSunDiskの間で締結された。米国でJV設立、のち工場を四日市に移転
合弁契約では、合弁相手の同意なしに事業の持ち分を第三者に売却できないが、
買収などによって持ち分の所有者の支配権が変わる場合は同意は不要とされているとのこと。
2016/5/12、Western Digital によるSanDisk 買収。(東芝の同意求めず)
2016/4/1 東芝、半導体事業を分社化、「東芝メモリ」を発足、東芝メモリの売却交渉開始
2017/6/3 東芝、JVを東芝メモリから東芝に戻す。

問題点は次の通り。

1) 裁判の管轄権   

東芝は日本の事業の問題なので、管轄権は日本と主張するが、JV契約には管轄権が明記されている筈。
  当初は米国でのJVであり、(修正していなければ)米国法とされている筈。

仲裁については契約でSan Franciscoで行われるとなっているとのこと。

2) 事業持分の売却 

契約の文言が実際にどうなっているか、実際の両社の主張がどうかによる。

以下は一般に言われていることの筆者の解釈。

「合弁相手の同意なしに事業の持ち分を第三者に売却できないが、買収などによって持ち分の所有者の支配権が変わる場合は同意は不要」というのが事実なら、

1) Western Digital によるSanDisk 買収は東芝の同意不要であり、東芝の同意を求めなかったことを理由に東芝メモリを同意なしで売却できるというのは成り立たない。

2)「分離した東芝メモリの買収によって持ち分の所有者の支配権が変わる場合であり、同意は不要である」との東芝の主張には無理がある。

 東芝本体が買収される場合は同意不要だが、分離したうえで売却するのは、事業の持分の売却そのものである。

JV持ち分を東芝に戻し、売却対象外とするのなら、JV契約と関係ないため自由であるが、それを前提とはしていない筈。



国際仲裁裁判所 原告 WD
時期 2017/5/14
内容 半導体事業の売却の差し止め

合弁契約の「合弁相手の同意なしに事業の持ち分を第三者に売却できない」規定に違反

・半導体事業の東芝メモリへの移管取り止め

2017/6/3 東芝、JVを東芝に戻す。
  JVの建屋、従業員は東芝メモリ
 


東芝メモリには
NAND型フラッシュメモリの権益は含まれない。
現在の売却交渉(2兆円程度)はこの権益を含んでいる。

これなしで、東芝メモリ売却は成立するのか?
売却価額は大幅ダウン?

・同意なしでの移管禁止
結果 1年後?  決定は最終
  2017/5/15 東芝の半導体事業売却、Western Digital が差し止め申し立て 
San Francisco County Superior Court 原告 WD
時期 2017/6/14
内容 合弁事業売却の予備的差し止め
国際仲裁裁判所の決定までの暫定措置
東芝、米国に管轄権なしと主張
結果 7/14 審問 →結論持ち越し
次回 7/28
   2017/7/15 米裁判所、東芝メモリ売却に関し結論持ち越し
原告 WD
時期 2017/6
内容 東芝の情報遮断(6/28) の取り消しを求める。
結果 7/12、一部やめさせる暫定的な命令
管轄権ありの前提
東芝控訴 → 

付記 

控訴裁判所は7月18日、仮制止命令の執行の一時停止を認める判断を行った。

東芝はこれに基づき、アクセス遮断を再開(遮断対象は東芝と直接的な契約を結んでいないWestern Digital 社員であり、SunDisk 社員は継続的にアクセス可能という。)

東京地裁 原告 東芝
時期 2017/6/28
内容 不正競争行為の差止めを求める仮処分命令の申立て

総額1,200億円(一部請求)の支払い等を求める損害賠償等請求訴訟

東芝メモリ売却が、合弁契約の「合弁相手の同意なしに事業の持ち分を第三者に売却できない」規定に違反するかどうかにより決まる。
結果 未定
   2017/5/15 東芝の半導体事業売却、Western Digital が差し止め申し立て の付記

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