米国南部のメキシコ湾岸(Gulf Coast)に接近し、カテゴリー4に勢力を強めていたハリケーン Harveyは8月25日午後10時ごろ、テキサス州Rockport付近に上陸した。風速は約60メートルに達した。
Harvey は上陸後、勢力を弱めたが、そこで停滞し、 Houston areaを含む広域に大量の雨を降らせ、各地で冠水被害が出ている。
その後、またメキシコ湾に出て、再び勢力を強め、Houston 近郊に再上陸の構えを示している。
テキサス州は洪水被害に対し、州兵1万2千人を総動員して救助活動にあたっている。ブルームバーグ通信は経済的損害が300億ドルに達するとの試算を報じた。
テキサス州知事は30の郡に非常事態宣言を出すとともに、連邦政府による支援の迅速化を図るためHarvey を「大規模災害」として宣言するようTrump大統領に要請した。
これを受けて大統領は8月25日、Harveyを大規模災害と宣言する文書に署名した。大統領は8月29日にテキサス州を訪れて被害状況を視察する。
冠水被害が広がったテキサス州の Corpus Christi、Lake Charles、Houston地区の製油所は米国全体の製油能力の30%を占める。
エクソンモービルやロイヤル・ダッチ・シェルなどの大手各社は、製油所などの関連施設の操業を相次ぎ停止した。
全米の石油精製能力の15%が止まった状態という。
原油生産地と港をつなぐパイプラインも止まった。
メキシコ湾の原油生産日量38万バレル分(メキシコ湾原油生産の約21%)が停止、イーグルフォードシェール鉱区でも操業停止が広がっている。
Harveyはこれから再上陸する可能性もあり、いつ再開できるかは不明である。
原油の在庫がだぶつくとの見方から、ニューヨーク商業取引所では原油価格が大幅に下落。WTI原油の先物価格は8月28日に、前週末より1.30ドル安い1バレル=46.57ドルと、ほぼ1カ月ぶりの安値水準で取引を終えた。
8月29日の終値は46.44ドルとさらに下がった。一時は45.76ドルと約1カ月ぶりの安値を付けた。テキサス州では29日も降雨が続いており、沿岸の製油所が通常稼働に戻るには数週間かかるとみられている。
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米国では2005年8月にHurricane Katrinaが New Orleans を、翌9月にはHurricane Rita がHoustonの東方に上陸し、石油精製、石油化学に大きな被害を与えている。
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