米側は米韓FTAで貿易赤字が拡大しているとして改定を要求。一方、韓国は米国の対韓貿易赤字とFTAは無関係とし、改定には応じないと反論した。
6月30日の米韓首脳会談でトランプ大統領が文大統領に対し、貿易の不均衡是正を強く迫った。「米韓の貿易協定は公正であるべきだ」と口火を切り、2012年のFTA発効後に対韓貿易赤字が2倍に増えたことや自動車、鉄鋼分野の被害が大きい点を例に、韓国に是正を求めた。
これに対し、文大統領は「条件が合えば米国からLNGを調達できる」と述べた。
米通商代表部(USTR)は7月12日、FTAの改定交渉を韓国政府に正式に要求した。
2017/7/20 米国、韓国とのFTAの再交渉を要求
両国の主張は次の通り。
米国は、米韓FTAで対韓貿易赤字が2倍に膨らんだと主張。自動車と鉄鋼、IT分野について、貿易不均衡の是正を求めた。
韓国は下記の通り反論した。米韓FTAは2012年3月に発効した。
その前年の2011年の対韓輸出は435億ドル、2016年は423億ドルと2.7%減少した。
2011年の対韓貿易赤字は132億ドル、2016年は276億ドルと倍増した。
2016年の自動車セクターの赤字は230億ドルで、全体の赤字の90%近い。
韓国の自動車市場の非関税障壁が問題。
2017年上半期の対米黒字は30%減少した。サービス収支は韓国の赤字で、年2桁のペースで増えている。
対韓赤字の原因がFTAではない。韓国の対米投資も、米国の対韓投資も大きく増えており、「ウィンウィンの関係」だ。
米国が問題視する自動車輸出は2016年に減少に転じている。
米国車の輸入は増加しており、日本車を抜き、輸入車で2位。鉄鋼の対米輸出は反ダンピング課税で既に減少している。
FTAの効果と、米国の対韓貿易赤字の原因について、両国の専門家による共同調査の実施を提案。
会議の終了後、記者会見した韓国産業通商資源省の金鉉宗通商交渉本部長は、「米側はFTAの『再交渉』(renegotiation)ではなく、『改定』(amendent)、『修正』(modifcation) という言葉を使った」と説明。「FTA の『改定』『修正』には双方の同意が必要で、今回は同意できなかった」と語った。
米通商代表部(USTR)のLighthizer 代表(電話で参加)は「多くの米国の労働者は米韓FTAから恩恵を受けていない」と不満を表明。「トランプ大統領は貿易不均衡の是正を公約している」とも付け加え、米韓FTAの改善を引き続き求めていく考えを示した。
今後の会議の日程については、韓国側は「米国の提案を待つ」と述べ、未定であることを明らかにした。
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米国、カナダ、メキシコの3カ国は8月20日、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の第1回会合を終えた。年内の決着を目指し、政府間の協議を加速することで合意した。
初会合終了後に発表した共同声明のポイントは次の通り。
・ 3カ国は再交渉で野心的な成果を上げることで一致し、NAFTAのルールを改正する重要性を再確認した。
・ 初会合では20以上の交渉分野について協議した。
・ 第2回会合を9月1~5日にメキシコで、第3回を9月下旬にカナダで、第4回を10月に米国でそれぞれ開く。
具体的な成果は明らかにしていない。
米国は、原産地規則の厳格化や他国の通貨安誘導を封じる「為替条項」の導入を強く求めているが、カナダやメキシコの反対で協議が難航しているとみられる。
2017/7/19 米通商代表部、NAFTA再交渉の協議目標を公表
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