サンフランシスコの連邦控訴裁(9th U.S. Circuit Court of Appeals)は8月21日、日米の環境保護団体がジュゴンを保護するため、米軍普天間飛行場の名護への移設工事の中断を求めた訴訟で、米裁判所には工事中止を命じる権限がないとして訴えを棄却した1審の判断を破棄し、サンフランシスコ連邦地裁へ差し戻した。
原告側の主張を一部認めた判断で、地裁が今後、工事中止の是非を判断する見通しとなった。
米国の環境保護団体のCenter for Biological Diversityと Earthjustice、日本の環境グループなどが、「現在の基地建設計画では、餌場と生息地を破壊し、ジュゴンは生息できない」と して中止を求めていた。ジュゴンは米国でもU.S. Endangered Species Actで絶滅危機種に指定されている。
日本政府は2012年に、移設工事はジュゴンに悪影響を与えないとし、米政府も2年後に同じ結論を出していた。
2015 年に、一審のサンフランシスコの U.S. District CourtのEdward Chen 判事は下記の理由で却下していた。
原告の要求は裁判所が扱えない政治的問題である。裁判所はジュゴンを保護するための工事中止や他の保護策を命じる権限がない。
これに対し控訴裁の3人の判事は、環境団体は国防総省に対し、ジュゴン対策を求めるための裁判を起こす法的権利があると判断した。また、環境団体による工事中断要求は司法を超えた政治問題を引き起こすものではないとした。
2015年に訴えを却下したChen 判事に本件を戻し、審査させる。
国防総省は判決を検討すると述べた。
3月の審理中に司法省は、日本政府が自国領土内の、協定により日本政府が支払う計画にとって何がよいのかを決めているのに、米国の裁判所が何が公共の利益かを決めるようにはなっていないと主張した。これに対し裁判長は、「分かったよ。君の立場ではそうだろう」と述べ、ニヤリとした。
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