住友化学は8月2日、デング熱やジカ熱などの感染症予防に有効な長期残効型の蚊発生源処理樹脂製剤スミラブ(SumiLarv)®2MRについて、発生源処理用樹脂製剤として世界で初めて世界保健機関(WHO)の推薦を取得したと発表した。
WHOは、デング熱やジカ熱などの感染症流行地域における感染症媒介蚊の防除戦略として、蚊が繁殖する貯水タンクなどの発生源の薬剤処理を非常に有効な手段として推奨している。
スミラブ®2MRは、蚊の羽化阻害効果を示すスミラブ®を有効成分とする。
スミラブ®は一般名ピリプロキシフェンで、1981年に住友化学により開発された4-フェノキシフェノキシ構造を有する殺虫剤。
昆虫体内で幼若ホルモンとして作用し、胚仔の発育阻害による殺卵作用、蛹化または成虫化を阻害することによる変態阻害作用等により作用すると考えられている。
住友化学は7月20日、 国内関係機関によるヒアリの侵入および定着阻止の各種取り組みに役立てるために、海外で展開するヒアリ対策剤「Esteem®」を日本に導入すると発表した。
「Esteem®」は、同社の100%子会社のValent U.S.A.が開発した誘引ベイト剤で、主に餌剤と有効成分ピリプロキシフェン(Pyriproxyfen)から構成された顆粒剤が、ヒアリによって巣に運ばれ摂食された後、有効成分の作用によって女王アリの産卵および幼虫の成虫化を抑制する効果がある。
2017/7/25 住友化学、海外で展開するヒアリ対策剤を日本に導入
スミラブ®2MRは、マラリア対策用の長期残効型蚊帳オリセット®ネットと同様に、ポリエチレンに薬剤を練りこみ、薬剤の溶出を制御し、薬剤を徐々に表面に染み出させることで、防虫効果が長期間持続する。
2017/7/29 本の紹介 日本人ビジネスマン、アフリカで蚊帳を売る: なぜ、日本企業の防虫蚊帳がケニアでトップシェアをとれたのか?
2013/6/8 住友化学のOlyset Net
このため、効力持続期間が短い従来の製品と比較すると、薬剤処理にかかる管理コストを大きく下げることができる。
また、蚊発生源対策分野で使用されている他の主な製品と作用機作が異なるため、薬剤抵抗性を持つ蚊を防除できるだけでなく、他の幼虫駆除剤の抵抗性対策にも寄与する。
住友化学は、「スミラブ®2MR」がWHOの推薦を取得したことを受けて、2018年以降のブラジルでの発売をはじめとして、世界各国での販売体制の整備を進めていく。
付記
住友化学は11月6日、新しい作用性を有するマラリア対策製品「スミシールドTM 50WG」がWHOが推奨するマラリア対策の室内残効性スプレー剤として認証を取得したと発表した。
WHOが約40年間、推奨してきた有効成分とは作用性が異なることから、既存殺虫剤への抵抗性が発達した蚊に高い効果を発揮する。効果が8カ月間持続した試験データもある。
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