米 Merck、ドイツのバイオ医薬ベンチャーのRigontecを買収

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米国のMerck は9月6日、ドイツのバイオ医薬品ベンチャーのRigontec を買収すると発表した。まず現金で115百万ユーロの一時金を支払い、Rigontecが開発する新薬候補の治験結果や商業化の進展などに応じ、最大349百万ユーロを追加で払う。

Rigontec は2014年設立の独ボン大学発ベンチャーで、多くのライフサイエンス関連の投資家から30百万ユーロ近い資金を集めている。
RIG-I 経路でのがん免疫療法のパイオニアで、同社の候補薬 RGT100 は現在 Phase I の開発段階で、いろいろな癌の患者でテストしている。

RGT100 はヒトの自然免疫系で働くタンパク質の分子のRIG-I を活性化させ、短期での腫瘍に対する免疫効果だけでなく、長期での効果も期待されている。
悪性疾患に加えて、感染性疾患および炎症性疾患の治療にも使われる。

Merck も同分野を成長の柱に据えており、癌の免疫治療では複数の薬を組み合わせることで治療効果が高まるとの研究結果もあり、Rigontec の開発品取得で相乗効果を期待する。

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RIG-I(retinoic acid-inducible gene-I)はヒトの自然免疫系で働くタンパク質の分子で、ウイルスが細胞内に進入した時にウイルス由来のRNAを認識し、抗ウイルス作用を示す I 型インターフェロン産生の誘導を引き起こす。京都大学の藤田尚志教授らによってその機能が明らかにされた。

ウイルスは細胞内に核酸を導入する事によって複製を開始する。

二重鎖RNAなどの複製産物はRIG -I やその他のRLR (RIG-I-Like Receptor) によって認識され、シグナルはミトコンドリア外膜上に発現するアダプター、IPS -1 を介してIFN遺伝子活性化が誘導される。


藤田尚志 細胞質ウイルスセンサーRIG-Iファミリーの発見

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