軍事・安全保障の技術流出につながる懸念があるというもので、両社に対し、30日以内に買収を「完全かつ永久的に破棄するための必要な措置」をとるよう命じた。
大統領は対米外国投資委員会(CFIUS)による勧告に基づいて、買収阻止を決めた。
ムニューシン財務長官は、「米国の安全保障を守るという政権公約にしたがって、大統領は買収を禁じる命令を出した」と述べた。
また国家安全保障リスクについて、知的財産が流出することや、中国政府が案件の後ろ盾となっていること、米政府への半導体サプライチェーンの保全が重要であること、米政府がLattice製品を使用していることなどに関連していると説明した。
これを受け、Lattice Semiconductor は9月13日、命令に基づき、契約を解消したと発表した。
なお、Canyon Bridge は英国のセミコンダクターメーカーの Imagination Technology Group の買収交渉を進めているとされる。
Imagination Technology は2013年に米国のチップのデザイナーのMIPSを買収し子会社としているため、Canyon BridgeがImagination Technology を買収すると、CFIUS の審査を受けることとなる。
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Lattice Semiconductor は1983年の設立で、スマートフォンやモバイル民生端末等の市場における超低消費電力プログラマブル デバイス・ソリューションのリーディング・サプライヤー。
自社で生産ラインは保有せず、製造は富士通セミコンダクターなどで行っている。
2016年11月3日、Canyon Bridge Capital Partners はLattice Semiconductor を買収する契約を締結したと発表した。
総額13億ドルの現金での買収で、直前の株価に30%のプレミアムを乗せた。
Canyon Bridge Capital Partnersは、Silicon Valleyに本社を置き、北京にオフィスを持つ。
Reuters は中国の国営企業の資料から、Canyon Bridgeの資金が中国国務院から出ていることを明らかにした。
Canyon Bridge と Lattice は、対米外国投資委員会(CFIUS)による承認を求めて3度にわたり申請を行ったものの、承認を得られず、最後の手段として大統領に直接要請した。
中国は「産業のコメ」とされる半導体産業の育成にとりわけ力を入れており、主に海外企業の買収による技術取得を目指している。
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米国はオバマ前政権時代から中国への半導体技術の流出を阻止してきた。
半導体製造装置メーカーのドイツのAixtron は 2016年5月23日、中国の福建芯片投資基金 (Fujian Grand Chip Investment Fund) が ドイツ子会社の Grand Chip Investment を通じて同社を買収することで合意したと発表した。
これに関し、オバマ米大統領は12月2日、Aixtron のカリフォルニア州の子会社 Aixtron Inc の買収を禁止すると発表した。軍事利用が可能な技術が対象に含まれ、米国の安全保障の脅威になると判断した。
Aixtronは発光ダイオード(LED)照明やレーザーなどに使う化合物半導体の製造技術を持つ。研究機能のある米子会社がこの技術に重要な役割を果たしているという。
また取引先には米防衛大手 Northrop Grumman が含まれる。窒化ガリウム(GaN)ベースの新しい半導体技術が問題になったのではとされる。
これを受け、Aixtron は12月3日、「大統領令は米国事業に限られ、GCIが Aixtron 株を取得することは禁じていない」との声明を出し、米子会社を除いた買収に切り替える方針を示した。
しかし、福建芯片投資基金は12月8日、Aixtron の買収取り止めを発表した。米子会社を除いた買収も検討したが、戦略拠点の米子会社が除外され、独政府の認可の行方も不透明なことから買収を断念した。
2016/12/7 米政府、中国企業による独社の米子会社買収を禁止
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ホワイトハウスが米国の安全保障リスクを理由に海外の買い手による投資を拒否するのはここ 4半世紀余りで4度目となる。
最初は 1990年2 月にGeorge Bush大統領が行ったもので、China National Aero-Technology Import and Export Corp(中国宇宙航空技術輸出入公司)による航空機部品メーカーのMAMCO Manufacturing, Inc.の買収である。
オバマ大統領は2012年9月28日、「国の安全保障に関わる」として、中国の三一重工系企業Ralls Corp. によるオレゴン州の米海軍施設近くの風力発電企業4社の買収と所有を禁止し、本年取得した所有権を放棄することを求めた。
2012/10/4 オバマ大統領、米国内での中国企業の風力発電買収を阻止
しかし、これについては、2015年11月4日、三一重工と米国政府の間で全面和解に至った。
外国投資委員会(CFIUS)はRallsが買収した他の風力発電事業が国の安全保障上で問題がないことを認め、将来の更なる投資を歓迎する。2015/11/10 中国の三一重工、米国での風力発電買収阻止事件で米政府と和解、実質勝利
三度目が上記のAixtronの件で、今回のLatticeが4件目となる。
Latticeのほかにも、別の中国の半導体産業向けファンドであるSino IC Capitalの子会社 Unic Capital Managementが2017年4月10日、米の半導体試験・検査装置メーカーの Xcerra Corp を580百万ドルで買収する契約を締結、CFIUSの審査待ちとなっている。
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