米地裁、聖域都市への補助金停止を差し止め

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米国の聖域都市(Sanctuary city )に対する補助金停止措置は違憲だとして、シカゴ市がトランプ政権を相手に起こした訴訟で、シカゴの連邦地裁のHarry Leinenweber 判事は9月15日、訴えを認め、差し止めを命じる仮処分を出した。

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「聖域都市」は不法移民を保護する法律で、1979年にロスアンゼルス市が、逮捕した外国人の移民的地位を警察が尋問することを禁止した のが最初である。
その後、多くの都市が聖域都市になり、下記のような措置をとっている。

・ 警察が外国人の移民状況を知る目的で活動を開始することを禁止
・ 米国移民法令第8章1325条に基づき、不法入国した個人を警察当局が逮捕または記録することを禁止
・ 市の公務員及び警察官が入国者の身分を尋ねることを禁止
 (警察官が何らかの事件で逮捕した際、パスポートを含む身分証明書の提示を求めることを禁止)

サンフランシスコ、ロスアンゼルス、デンバー、ワシントン DC、マイアミ、シカゴ、デトロイト、ミネアポリス、ニューヨーク、ニューワーク、フィラデルフィア、シアトルなど400以上の市が聖域都市となっているとされる。

トランプ大統領は「トランプの公約」の「安全保障と憲法のルールを取り戻すための5つの行動」の1つに「聖域都市への全ての国家資金使用の禁止現状」を挙げていたが、1月25日に 大統領令を出した。

Executive Order: Enhancing Public Safety in the Interior of the United States

これに対し、各市は反発、ニューヨーク市長は「この対策で移民は恐怖を抱えて暮らすことになり、犯罪通報や捜査協力をしなくなる 。ニューヨーク市警が不法移民取り締まりの仕事をすることはない」と明言、ロサンゼルス市長も「この対策で影響を受ける人を守るため、全力を尽くす」と強調した。

セッションズ米司法長官は3月27日の記者会見で、不法移民を容認している聖域都市と呼ばれる州や自治体が取り締まりに協力しなければ、連邦政府の補助金を打ち切ると警告した。

これに対しては、訴訟が相次いだ。

サンフランシスコの連邦地裁のWilliam Orrick 判事は4月25日、大統領令を一時差し止める仮処分命令を出した。「憲法は歳出権限を大統領ではなく、議会に与えており、憲法上、大統領令で歳出に条件を付けることは出来ない」とした。

2017/4/26 聖域都市への補助金停止の大統領令にも差し止めの仮処分命令 

判事は政府の要請で再検討した。司法長官は大統領令の範囲を縮小するメモを出したが、判事は7月20日にさきの仮処分を取り消さないと発表した。

セッション司法長官は7月25日、新しいルールを発表した。

司法省は今後、Byrne Justice Assistance Grant program(2005年に議会が承認した司法に関する補助金)を次の全ての条件を満たす市にのみ提供する。

・外国人を釈放する48時間前に国土安全保障省に通知する。
・逮捕・拘留されている外国人を調べるため、政府職員に刑務所訪問を認める。
・連邦法に従うとの協定書にサインする。

記録によると、司法省は2016年にByrne Justice Assistance Grant programに基づき、州政府に10億ドル、430百万ドルを非営利組織に、136百万ドルを市や郡に渡している。

シカゴ市は本年、機器購入のため320万ドルを受け取る予定で、来年度分として150万ドルを申請している。

シカゴ市は新ルールについて訴訟を起こした。

今回の判決で、シカゴの連邦地裁のHarry Leinenweber 判事は米国全体での差し止めを命じる仮処分を出した。今後数カ月かかる裁判で最終決定が出るまでの間、補助金支払の停止を禁止した。

議会はByrne Justice Assistance Grant programを承認する際に、司法省が条件を付けることを認めていないし、相談を受けていないとした。

なお、判事は司法省の3つの条件のうち、初めの2つは差し止めを認めたが、最後のものは、当然のことであるとして、差し止めを認めなかった。

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これとは別に、テキサス州は不法移民に寛容な措置を取らないよう定めた「聖域都市禁止法」を制定し、9月1日に施行予定だった。

トランプ大統領が「最も厳しい州法」として支持するもので、警官が職務質問などで移民らに滞在資格を尋ねることができる一方、不法移民の強制送還などに協力しない警官への罰則も盛り込んでい る。

これに対し、メキシコ国境のエルセニーゾ市が「中南米系を狙った人種差別で違憲だ。不法移民が警察の捜査に協力しなくなる」と訴え、ヒューストンやダラスなど大都市も訴訟に参加 した。

San Antonioの連邦地裁のOrlando Garci 判事は8月30日、原告の主張を認め、9月1日の施行を差し止めた。一時的差し止めで、最終的には今後の裁判で判断する。

判事は法律のうちの3条項を問題とした。そのうちの1つは、「地方政府とその職員は、移民法の実行を制限するどんな政策も行ってはいけない」というもの。

原告側は、地方の職員に特定の見解を強制するのは憲法違反であると主張しており、判事はこの見方を支持している。「政府は特定の見解に反対であってもよいが、政府の見解と異なるというだけで、それを禁止することは出来ない。今回の法律は明らかに移民政策に関して異なる見解のものを罰しようとしている」と述べた。

テキサス州は控訴するとしている。

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