帝人は10月10日、DuPontと共同で、米国、欧州及び中国のフィルム事業の合弁会社4社の所有持分全てをIndorama Netherlands B.V.に売却することを決定したと発表した。
DuPontは本事業から完全撤退、帝人は、2016年にDuPontから持分を買い取った日本とインドネシアの事業の更なる高機能化に資源を集中的に投入する。
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帝人はポリエステルフィルム分野では、世界6カ国で米国デュポンと合弁事業を行っていた。
帝人は1957年に英国ICIのPETフィルム製造技術を導入。
DuPontは1998年にICIからポリエステル事業を買収。
両社は2000年1月、折半出資により世界最大のポリエステルフィルムのグローバル合弁会社(Teijin DuPont Films)を設立した。
日本をはじめ、米国、欧州(ルクセンブルグ、英国)、アジア(インドネシア、中国)の6カ国に地域合弁会社が設立され、工業用、包装用、磁気用の幅広い用途向けに、それぞれの地域のニーズに対応した高機能ポリエステルフィルム製品群を、地域の販売網を通じて販売した。
インドネシアは帝人子会社、中国はDuPont のJVで、それぞれを両社のJVに移した。
国 | 社名 | 出資比率 % | 備考 | ||
帝人 | DuPont | その他 | |||
日本 | 帝人デュポンフィルム | 50.1 | 49.9 | ||
米国 | DuPont Teijin Films U.S. | 49.9 | 49.9 | (*1) 0.2 | *1 帝人デュポンフィルム |
英国 | DuPont Teijin Films U.K. | 50.0 | 50.0 | ||
ルクセンブルグ | DuPont Teijin Films Luxembourg | 50.0 | 50.0 | ||
インドネシア | P.T. Indonesia Teijin DuPont Films | 50.1 | 49.9 | 元は帝人100%のP.T.Indonesia Teijin Films | |
中国 | DuPont Hongji Films Foshan (佛山杜邦鴻基薄膜) |
中国JV 51 | (*2) 49 | *2 佛山塑料集団(Foshan Plastics Group) DuPont 持株をDuPont Teijin Films China に移管 |
|
(49.0) | (51.0) |
帝人は2016年8月19日、日本とインドネシアのDuPontとのJVについて、DuPontの持分を買収し、帝人100%とすると発表した。
中国経済の減速に伴う需要低迷、中国メーカー台頭による市場構造の変化により、事業環境は厳しさを増し、事業構造の変換が急務になっており、事業運営柔軟性と意思決定の迅速性を向上するため、国内合弁とインドネシア合弁について、DuPont持分を取得することで合意した。
2016/8/23 帝人、日本とインドネシアのDupont とのJVを100%子会社化
この結果、現状は下記の通りであるが、帝人としては、日本とインドネシアのJVの完全子会社化以降は、日本とインドネシアにおいてPENフィルムを含むポリエステルフィルムの更なる高機能化に資源を集中的に投入する方針としており、米国、欧州及び中国のDuPontとのJV 4社については資源投入対象としての重要性が低くなっている。
DuPontは2016年に日本とインドネシアの持分を帝人に渡したが、その以前の2011年に、高成長分野に舵を切っていることから、この事業の売却のうわさが出ていた。
2011/10/18 DuPont、帝人とのポリエステルフィルムJVを売却か?
今回、Dowとの統合により、本事業の意味はなくなっていた。
国 | 社名 |
出資比率 % |
備考 | 今後 | |||
帝人 | DuPont | その他 | |||||
日本 | 帝人デュポンフィルム | 100 | 従 来 |
50.1/49.9→60/40 | 更なる高機能化に資源を集中的に投入 | ||
インドネシア | P.T. Indonesia Teijin DuPont Films | 100 | 50.1/49.9 | ||||
米国 | DuPont Teijin Films U.S. | 49.9 | 49.9 | (*1) 0.2 | *1 帝人デュポンフィルム | 帝人、DuPontとも 持分をIndoramaに売却 |
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英国 | DuPont Teijin Films U.K. | 50.0 | 50.0 | ||||
ルクセンブルグ | DuPont Teijin Films Luxembourg | 50.0 | 50.0 | ||||
中国 | DuPont Hongji Films Foshan 佛山杜邦鴻基薄膜 |
JV(*2) 51.0 |
(*3) 49.0 | *2 DuPont Teijin Films China *3 佛山塑料集団(Foshan Plastics Group) |
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(49.0) | (51.0) | ||||||
韓国 | Teijin DuPont Films Korea | (*1) 100 | (販売会社) *1 帝人デュポンフィルム |
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Indorama Group は1974年にMohan Lal Lohia (ML Lohia)によりインドで設立され、インド、インドネシア、タイなどでPTA、PET、ポリエステルなどの事業を拡大した。
ML Lohia は事業を3人の息子に分割した。長男OP Lohiaはインド、次男 SP Lohia はインドネシア、三男 Aloke Lohia (APL) はタイを受け継いだ。同じような事業を行っているが、それぞれが独立して事業を行っている。
今回の売却先は、三男 Aloke LohiaがGroup CEO and Vice Chairmanを務めるIndorama Ventures Public Company Limitedの子会社である。
同社の詳細は 2016/1/12 タイのIndorama Ventures、BPのアラバマのPX、PTA、NDCコンプレックスを買収
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