東証、東芝の特設注意市場銘柄の指定解除

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東証は10月11日、東芝の特設注意市場銘柄の指定を12日付で解除すると発表した。同時に監理銘柄の指定を解除する。

「特設注意市場銘柄」:

有価証券報告書に虚偽の記載を行ったり、監査報告書で不適切な会計処理であることが指摘されていたり、上場廃止基準に抵触するのをギリギリのところで免れたりした企業のことで、コーポレートガバナンスの改善が急務であると取引所が判断し、それを促す意味でも通常の銘柄と区別する。

指定を受けた企業は、それから1年後に内部管理体制確認書を取引所に提出する。この内容を審査し、着実な改善がうかがえると判断されれば、「特設注意市場銘柄」の指定が解除され、通常の取引銘柄に戻される。

しかし、依然として改善がなされておらず、今後もその見込みがないと取引所がみなした場合や、指定から1年6カ月以内に改善の兆候が見られなかった場合は、「上場廃止」の処分が下される。

「管理銘柄」:

上場銘柄が上場廃止基準に該当する恐れがある場合に、投資家にその事実を周知するため、指定される。


東証は2015年9月15日、有価証券報告書に虚偽記載を行い、内部管理体制などについて改善の必要性が高いと判断し、東芝を特設注意市場銘柄に指定した。
同時に、上場契約違約金 9,120万円の支払いを命じた。

2016年12月、指定から1年を経過した後に同社から提出された内部管理体制確認書の内容等を確認したところ、全社的に改善に向けた取り組みが行われていることが認められたが、なお、問題が見られ、確認する必要があると判断し、特設注意市場銘柄指定を継続することにした。

当該指定から1年6か月を経過した日(2017年3月15日)以後に同社から再提出される内部管理体制確認書の内容等を確認し、内部管理体制等について改善がなされなかったと認められた場合は、同社株式は上場廃止となる。

日本取引所グループの清田CEOは6月16日の定例記者会見で東芝の特設注意市場銘柄の指定解除の審査について「有価証券報告書が出ないうちに一方的に結論を出すのは難しい」との見方を明らかにした。

なお、東芝株式は8月1日、東京証券取引所の第1部から第2部に「降格」となった。2017年3月末時点で債務超過となり、1部上場基準に抵触した。

2017/8/2 東芝、東証2部降格 

東芝は8月10日、PwC あらた監査法人から2017年3月期の有価証券報告書について監査法人から「おおむね妥当だ」とする「限定付き適正」の監査意見を受領し、有価証券報告書を関東財務局に提出した。

この結果を受け、東証は東証は特注銘柄から外すかの検討を行ってきた。

2017/8/14 東芝、有価証券報告書を提出、決算発表

今回、東証は下記により、指定を解除した。

特設注意市場銘柄指定から1年6か月を経過した後の2017年3月15日に同社から再提出された内部管理体制確認書の内容等を審査した。
その結果、以下の改善策が講じられていることが認められた。

i) 事業実態に反した非合理的な経営目標を要求する等の経営トップによる暴走や歪んだ経営方針が無批判に踏襲されていくことを牽制・抑止するため、取締役の選任・解任プロセスを改善。

指名委員会を社外取締役のみで構成し執行サイドからの独立性を確保、経営トップに対する信任調査の導入等

経営陣への有効な牽制と執行サイドへの実効的な監督を行うことを目的として、取締役会・監査委員会等の社内機関がその職責を十分に発揮するためのガバナンス態勢を刷新。

取締役会・監査委員会の構成の見直し及び情報収集態勢の強化、社外取締役のみで構成される「取締役評議会」の設置と重要な意思決定プロセスにおけるチェック機能の発揮等

社内の各部署とその役職員が本来の任務を確実に遂行できる社内風土を定着させることを目的として、全社的なコンプライアンス意識の向上・定着を図るため、全役職員に対し経営トップから継続的にメッセージを発信。また事業・役職に応じた実効的な研修、法令違反等への厳格な処分等を実施


ii) 重要な経営判断を行う際には十分なリスクの分析・評価を必ず行うこととするため、リスク分析・評価を専門とする組織(外部専門家の知見も活用)を設置し、同組織の分析・評価を踏まえて取締役会等で審議することとするなど、意思決定プロセスを見直し

iii) 事業の推進とは独立して適正な会計報告を行うため、CFOの選任・解任に係る拒否権を指名委員会に付与し、また、各カンパニー(各事業部門)の財務部門をCFOの直轄とするなど、財務部門の独立性を強化。開示体制を強化するため、適時開示に係る情報連携体制等を見直し

iv) 子会社の管理を強化するため、リスクに応じて子会社を管理する方針を明確化した上で、子会社のリスク情報の収集態勢の強化、子会社に対する実効的なモニタリング等を実施

これらから、同社の内部管理体制等については、相応の改善がなされたと認められた。

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なお、8月初めの時点では、上場継続には3条件全ての達成が条件であった。

債務超過の解消

有価証券報告書での適正意見

特定注意市場銘柄指定解除 東証が今秋をメドに判断

このうち、②と③が達成されたこととなる。

しかし、2018年3月末までに東芝メモリの売却が完了しなければ債務超過の解消は出来ない。

東芝は9月28日、東芝メモリの株式譲渡契約を締結したと発表した。

しかし、国際仲裁裁判所の審理と独占禁止法の審査の問題があり、2018年3月末までの東芝メモリの売却完了のハードルは高い。

2017/9/30 東芝メモリの株式譲渡契約締結

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