EPAのPruitt 長官は10月10日、オバマ前米大統領が進めた石炭火力発電所規制(火力発電所から出るCO2を2030年までに2005年比で32%削減)を撤廃する案を発表した。
二酸化炭素(CO2)排出量が多い石炭火力発電所の閉鎖を促した規制を撤廃し、化石燃料資源の開発を進める。
但し、この規制案は2016年2月に連邦最高裁が差し止めを命じ、実施は見送られているため、いま撤廃しても大きな影響はないとみられる。
声明で、前政権の規制はEPAの法的権限を超えたものだと指摘し、「オバマ前政権の過ちをただす」と強調、規制撤廃に向け60日間の意見公募の手続きを始めた。
Trump 大統領は3月28日、Obama 前政権の地球温暖化対策を全面的に見直す大統領令に署名し、「私の政権は石炭との戦争を終わらせる」と述べ、温暖化関連の規制を180日以内に見直すよう指示していた。
Executive Order Presidential Executive Order on Promoting Energy Independence and Economic Growth
長官は10月9日のケンタッキー州の炭鉱労働者とのイベントで、「石炭との戦争は終わった」と述べ、再生可能エネルギーへの税額控除などの援助措置を中止する考えを明らかにした。
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オバマ米大統領は2015年8月3日、石炭火力発電所からの二酸化炭素(CO2)排出に対する規制強化を正式に発表した。
新規制では、火力発電からのCO2排出量を2030年までに2005年比32%削減することを目指す。
米EPAは2014年6月、火力発電所から出るCO2を2030年までに05年比で30%削減するとの規制案を公表していた。
オバマ大統領はこの削減幅を同 32%に拡大する。大統領権限で実施する。
2015/8/7 オバマ政権、火力発電のCO2排出規制を強化
石炭生産が盛んなウエストバージニア州など国内27州と複数の企業、業界団体が規制の実施を差し止めるよう最高裁に求めていた。
この規制の合法性をめぐる裁判が続く間、実施は見送られることになる。
「Clean Power Plan」は、COP21で米国が公約した温室効果ガス削減目標の達成に欠かせない規制であったが、Trump大統領は6月1日、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から米国が離脱すると正式表明した。
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