アサヒビール、青島ビールの持ち株を売却へ

| コメント(0)

アサヒグループホールディングスは10月12日、中国の「青島ビール」の持株を売却する方針を明らかにした。

昨年来、SABMiller の西欧事業、中東欧事業を取得するなど、国際事業の成長エンジン化を推進するとともに、資産効率を重視した事業ポートフォリオの再構築に取り組んでおり、中国のビール事業への投資を再検討した結果、青島ビールの持ち株の全部または一部の売却の検討を開始する。

売却先は今後、入札を行って決める。

アサヒは株式を売却したあとも青島ビールとの合弁の深圳青島ビールを継続し、ビールの共同生産を続けるとしている。
下記の中国の他のJVについては、どうするか未定。

アサヒは6月30日に、持ち分法適用会社で中国飲料大手の康師傅飲品の保有株全てを売却すると発表している。

2017/7/8 アサヒビール、中国飲料JVの株式を売却

付記

アサヒグループホールディングスは12月20日、保有する青島ビール株式19.99%の全てを中国複合企業、復星集団(Fosun International)などに売却する契約を結んだ。売却額は1千億円強。2018年6月までに売却を終える。

売却先 株数 株価 持株比率 金額
復星集団 243,108,236 @27.22HK$ 17.99% 847百万US$ (6,617百万HK$)
青島啤酒集団 27,019,600 @27.22HK$ 2.00% 735百万HK$  (94百万US$)
合計 270,127,836 19.99% 約1060億円  (941百万US$) 

ーーー

ビール世界最大手のAnheuser-Busch InBev (AB InBev)は2015年11月11日、英のSAB Miller を697億8000万英ポンド(約13兆円)で買収することに正式合意したと発表した。

これは独禁法で問題になるのは必然であるため、米国ではSAB Millerが保有するMillerCoorsの持株 58%を合弁相手の米 Molson Coors Brewing に120億ドルで売却した。

2015/10/14 ビール世界最大手のAnheuser-Busch InBev、2位のSAB Millerを買収へ

欧州については、SABMillerの欧州のブランド、Grolsch ビールとPeroni ビールを売りに出すことを明らかにした。

アサヒビールは2016年10月11日、SABMillerのイタリア、オランダ、英国の事業を構成する会社の全株式と、3ブランドの知的財産権その他関連資産を2,550百万ユーロで買収した。

更に2016年12月13日、SAB社が保有していた中東欧5カ国市場における事業及びその他関連事業を構成する会社(計8社)の全株式の73億ユーロでの買収を発表した。2017年3月31日に取得を完了した。

2016/2/16 アサヒビール、英SABMillerの欧州事業の一部を買収

ーーー

青島ビールにはAnheuser Busch が27%出資していた。

2008年6月にベルギーのビール会社 InBev Anheuser Busch に買収を提案した。

中国商務部は2008年11月、これを以下の条件付きで許可する通告を出した。

青島ビールに対するAnheuserの株式保有率27%を増加してはならない (以下略)

2008/12/1 中国の独禁法、初の海外での合併ケース

2009年1月、アサヒビールは統合した Anheuser-Busch InBev SA が保有する青島ビールの株式の一部、約19.99%を約6億6,650万米ドルで取得する契約に調印した。

青島ビールは2009年8月27日、アサヒビールグループと「戦略的協力合意」を締結したことを発表した。

アサヒビールは青島ビールによる書面での同意がない限り、青島ビール株の保有率をいかなる状況でも19.99%を超えるものとしないことを約束した。
アサヒビールはさらに、協力合意の有効期間中、青島ビールをアサヒビールの中国ビール業での唯一の戦略協力パートナーとすることにも合意した。

今回、この19.99%の全て又は一部を売却する。

ーーー

サヒビールの中国での他のビール事業は下記の通り。北京ビールと煙台ビールの扱いは未定。

現在の出資比率
杭州ビール

北京ビール 90.00%
煙台ビール 40.00%
深圳青島ビール 29.00%

同社は当初、伊藤忠商事とのJVの朝日啤酒伊藤忠(Asahi Breweries Itochu)で中国に進出した。現在はこのJVは解散している。

1994 年に朝日啤酒伊藤忠は杭州ビールに55% 出資した。

その後、JV相手の杭州市工業資産経営有限公司が持分を華潤雪花に売却したため、青島ビールと提携していたアサヒは2011年、持分を華潤雪花に売却した。

1995年には朝日啤酒伊藤忠 は北京ビールと煙台ビールの経営権を取得した。

北京ビールへの出資比率は55%で、北京一軽が45%であった。

煙台ビールは、当初は朝日啤酒伊藤忠 51%、煙台集団 49% であったが、2008年11月に青島ビールが煙台集団から39%分を取得した。

1996 年に、更にビール事業を強化するため、青島ビールとの提携協議を開始し、1997年には 合弁で深圳青島ビールを設立した。

「スーパードライ」や、「青島ビール」を製造する。
2002 年には日本での青島ビールの販売も開始している。

アサヒは青島ビールの株式を売却したあとも青島ビールとの合弁の深圳青島ビールを継続し、ビールの共同生産を続けるとしている。

ーーー

キリンとサントリーの中国事業の状況は下記の通り。

キリンビール

麒麟(中国)投資有限公司のもとで酒類事業を展開し、キリンブランドや各社ブランドの育成・販売を行っている。

1999年に台湾の統一企業とのJVで麒麟啤酒(珠海)を設立し、2007年にこれを100%化した。

また、華潤創業との合弁清涼飲料事業の華潤麒麟飲料(大中華)を設立し、両社の強みを融合することで主力である水事業の拡大や新たな商品カテゴリーの創出を加速してい く。

サントリー

サントリーは2015年10月19日、中国子会社が青島啤酒(青島ビール)との50/50 合弁企業の2社「三得利青島啤酒(上海)」と「青島啤酒三得利(上海)銷售」の同社保有の全株式を翌年の春をめどに青島ビールに譲渡することで合意し、10月18日に契約調印したと発表した。 売却額は156億円とされる。

2015/10/24  サントリー、中国のビール合弁企業の株式譲渡  

コメントする

月別 アーカイブ