エーザイとバイオジェン、アルツハイマー治療剤での提携契約を拡大

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エーザイとBiogen は10月23日、臨床第III相試験進行中のaducanumabを含むアルツハイマー病治療剤の開発・販売に向けた提携契約を拡大すると発表した。

両社はアルツハイマー関連で下記の製品を開発しており、エーザイが以前から販売しているアリセプトを除き、開発で提携している。

エーザイ アリセプト 〈既存製品〉
(donepezil)
エーザイの杉本八郎博士らが開発
アルツハイマーでは、神経伝達物質のアセチルコリンが脳内で減少している。

アセチルコリンを分解するアセチルコリンエステラーゼの作用を阻害することで、アセチルコリンの濃度を高める。

新規ヒト化モノクローナル抗体
「BAN2401」
2007/12 スウェーデンのBioArctic Neuroscience ABから全世界の研究・開発、製造、販売の独占ライセンスを受ける。 アルツハイマー病の原因と考えられるベータ・アミロイド成分を除去
βサイト切断酵素(BACE)阻害剤
「E2609」
エーザイが創製

βアミロイドの脳内の沈着はアルツハイマー型認知症の病因の一つ
アミロイド前駆体タンパク質のβサイト切断酵素であるBACEを阻害することでβアミロイドの総量を低下させる。
Biogen 抗アミロイドβ(Aβ)抗体
aducanumab
(BIIB037)
Neurimmune社より共同開発およびライセンス契約締結のもとに導入 アミロイド斑(プラーク)は、アミロイドβ蛋白が蓄積したもので、アルツハイマー病患者の脳にみられる。

aducanumab 投与でアミロイドプラークのレベルを下げる

バイオジェンの歴史
  1978 科学者グループと投資家が Biogen NV を設立
  2003  Biogen と 1986年設立のIDEC Pharmaceuticalsが合併し、Biogen Idecとなる。
  2015  社名を元のBiogenに戻す。

エーザイは2005年にスウェーデンのBioArctic Neuroscience ABと共同研究契約を締結、成果として出てきた抗体医薬に対する第一次優先交渉権を行使し、2007年12月にBAN2401について、全世界での研究・開発、製造、販売に関する独占ライセンス契約を締結した。

Aducanumab(BIIB037)は、Neurimmune社のReverse Translational Medicine と呼ばれるテクノロジー・プラットフォームを用いて作成されたヒト遺伝子組換えモノクローナル抗体(mAb)であり、認知障害の兆候のない健康な高齢者、または進行が異常に遅い認知機能障害のある高齢者から採取した、非特定化B細胞ライブラリーに由来 する。
Biogenは、Neurimmune社より共同開発およびライセンス契約締結のもとにaducanumabを導入した。


両社は2014年3月に、
エーザイが開発している次世代アルツハイマー型認知症治療剤であるBACE 阻害剤 「E2609」、および抗アミロイドβプロトフィブリル抗体「BAN2401」に関する共同開発・共同販促契約を締結した。

合わせて、エーザイはBiogenが開発している抗Αβ抗体BIIB037および抗tau 抗体の共同開発・共同販促に係るオプション権を保有した。

両社はE2609とBAN2401について、エーザイ主導のもとグローバルでの承認取得に向けた開発を進め、承認取得後は欧米などの主要な地域において共同販促を行う。

両社はE2609とBAN2401に係る研究開発費等の費用を分担し、共同販促に基づく売上高はエーザイに計上され、利益は両社で分配する。

エーザイは Biogen より契約一時金、本共同研究の進捗および売上高達成に応じたマイルストン支払いを受け取り、今後、日本を共同開発・共同販促の地域に追加する場合、一定の一時金を受領する権利を保有する。

その後、2014年5月に、エーザイは共同開発・共同販促契約に関して、日本を対象地域に追加するオプション権を行使した。

日本においても、エーザイが開発している「E2609」および「BAN2401」について、エーザイ主導のもとで共同開発を進めるとともに、承認取得後は共同販促を行う。

また、日本における両剤の開発に関わる研究開発費等の費用は両社で分担し、承認取得・発売後の売上高はエーザイに計上され、利益は両社で分配する。

エーザイは、今回のオプション権行使に伴い、Biogenより一定の一時金を受領するとともに、本共同開発の進捗に応じたマイルストン支払い受領の権利を得る。

ーーー

今回の提携契約拡大で、エーザイは、Biogenの抗アミロイドβ(Aβ)抗体BIIB037=aducanumab に対する共同開発・共同販促オプション権を行使した。 (一時金 なし)

両社は、aducanumabの販売に向けて各地域において各社が有する強みや販売基盤をレバレッジするとともに、売上に応じて各社が得る地域別利益配分を調整する。

売上計上

利益帰属

エーザイ Biogen
日本とアジア(中国と韓国を除く) エーザイ 80% 20%
米国 Biogen 45% 55%
欧州 31.5% 68.5%
その他地域 50% 50%


開発費負担:

Biogen エーザイ
~2018/3 100%
2018/4~2018/12 85% 15%
2019/1~ 55% 45%

なお、2014年3月の当初の共同開発・共同販促契約では、共同研究の進捗および売上高達成に応じたマイルストン支払いの条項があるが、今回、双方ともマイルストンの支払いは解消する


両社は今回、
Biogenの多発性硬化症治療剤「Avonex®」、「Tysabri」、「Tecfidera®」について、日本で現在Biogenが訪問
していない施設に対する共同販促を行うことに合意した。
また、エーザイは、アジア(中国除く)において、上記3製品と「Plegridy®」について独占的販売権を取得した。

多発性硬化症は中枢神経系の脳、脊髄、視神経などに炎症を起こす慢性疾患のひとつ。症状は四肢のしびれから運動麻痺、視力低下まで様々ある。

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