米エネルギー省は9月29日、Southern電力によるVogtle 3、4号機原発の建設事業に対する債務保証を 条件付きで最大37億ドル追加すると発表した。
当初から83億ドルの保証を行っており、債務保証合計は120億ドルになる。
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Westinghouse は3月29日、ニューヨーク州連邦破産裁判所に米国連邦倒産法第11章に基づく再生手続申し立てた。
WestinghouseのChapter 11手続きにより、建設中の2原発(各2基)の追加コストを電力会社負担に変更してWestinghouseの損失を確定させるのが目的。
東芝は6月10日、Westinghouseが建設中の「AP1000」原発、Vogtle 3、4号機建設計画に関する親会社保証について、Southern電力に対し、3,680百万米ドルを2017年10月から2021年1月までの間に分割して支払うことで合意書を締結した。
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Southern電力は10月2日、東芝から債務保証額の分割払いの第一回分として3億ドルの支払いを受けたと発表した。
東芝は7月27日、サウスカロライナ州で建設中のV.C. Summer 原発2号機、3号機に関する親会社保証について、South Carolina Electric & Gas 及びSantee Cooper との間で合意書を締結した。
東芝は両社に対し、2,168百万ドルを2017年10月から2022年9月までの間に分割で支払う。この支払は、2基の原発の建設、1基だけの建設、建設断念のいずれのケースでも行われる。
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なお、South Carolina Electric & Gas 及びSantee Cooperは9月27日、東芝から受け取る予定の保証金のうち、2017年10月の支払い分を除く全てをCitibankに売却した。
総額の91.5%に割り引いた金額となるが、5年の分割よりも直払いを選択した。東芝の今後の支払い能力への懸念もあると思われる。
South Carolina Electric & Gasは7月31日、V.C. Summer 原発の建設を断念すると発表した。完成を目指せば追加コストが膨らみすぎること、税額控除制度の延長が不明なこと等を勘案して決定した。
South Carolina Electric & Gas(55%出資)は事業継続も考えたが、共同事業者のSantee Cooper (45%出資)が撤退を決めたため、断念した。
Southern電力は8月31日、Georgia Public Service Commission にVogtle 3、4号機の工事を続行すると報告した。
この結果、Westinghouseの扱っていた原発は次の通りとなる。
建設 東芝保証 政府債務保証 Southern電力 Vogtle 3、4号機 継続 3,680百万ドル 83億ドル
+37億ドルSouth Carolina Electric & Gas V.C. Summer 2、3号機 断念 2,168百万ドル 合計 5,848百万ドル
今回の政府債務保証はThe Energy Policy Act of 2005 によるもので、対象は、新規の又は著しく改善された技術を使い、温室効果ガスを減らす計画となっている。
実施された場合、2014年12月に出された125億ドルの先進原発プロジェクトを対象とする募集での最初のものとなる。
保証は、Southern電力の株主3社に与えられる。
株主 出資比率 保証 Georgia Power Company 45.7% $1,670 million Oglethorpe Power Corporation 30.0% $1,600 million Municipal Electric Authority of Georgia 22.7% $415 million Dalton市 1.6% ー 合計 $3,685 million
エネルギー省のPerry長官は、米国の原子力エネルギーの将来は明るいと述べ、原発建設を後押しする姿勢を強調した。
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なお、Westinghouse のChapter 11 手続きは遅れている。
ロイターによると、Blackstone Group LP とApollo Global Management が共同で再建スポンサーに名乗り出た。買収額は40億ドルに近いとされる。
このほか、Cerberus Capital Management LP も原発部品メーカーのBWX Technologies Inc と共同買収の話し合いをしているとされる。
他にも検討している企業はある。但し、対米外国投資委員会(CFIUS)は米国企業以外による買収は認めないだろうと見られている。
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