化学会社各社の9月中間決算がほぼ出揃った。
多くの企業が前年同期比増益となっている。特に石油化学部門が好調である。原料価格が安定するなか、販売価格が上がり採算が改善した。
各社の実績については、下記参照(過去からの推移の表とグラフ)
営業損益 (斜線の企業はIFRS方式採用で、営業損益総額でコア損益以外も含む) | |
経常損益 (斜線の企業はIFRS方式採用で、税引前損益で、日本方式の場合の特別損益を含む) |
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当期損益 (斜線の企業はIFRS方式採用で、範囲は日本方式の場合と同じ) |
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しかし、問題は今後である。
米国でシェールガス利用の大規模石化が相次ぎ完成した。
Chevron Phillips Chemicalは9月19日、テキサス州のPE 50万トン2基がスタートアップしたと発表した。
DowDuPont は9月21日、テキサス州のエチレン150万トンとEnhanced PE 40万トンがスタートし、第4四半期にフル稼働すると発表した。
今後も、巨大な新設備が次々に完成する。
米国だけで新設のエチレンは8,500千トンで、新設分だけで現在の日本の全能力(定修なしで6,824千トン)より大きい。
更にサウジではSadara Chemical とPetroRabigh 第2期が建設を完了した。高機能製品を含めた生産がいよいよ始まる。
米国(シェール)もサウジ(エタン)も、ナフサをベースにする日本と比べ、格段にコストが安い。
これらの低コストの製品のアジア向け大量輸出が始まると、製品価格が大幅に下落し、状況が一変するとみられている。
2017/5/30 日本の石油化学に迫るXデー
2017/9/26 米国でシェールガス利用の大規模石化が相次ぎ完成
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