米国、NAFTA再交渉で新目標

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米通商代表部(USTR)は11月17日、NAFTA再交渉での目標を見直したと発表した。

発表は次の通り。
  https://ustr.gov/sites/default/files/files/Press/Releases/Nov Objectives Update.pdf


USTRは7月17日に、再交渉に向け、貿易赤字の削減など22項目の協議目標を公表した。

米国の製品、農産品、サービスのカナダとメキシコへの市場アクセスを改善することにより、米国の貿易赤字を減らし、全ての米国民にとってフェアな、はるかに良い協定を目指すとし、次のように述べている。

USTRは初めて、NAFTA交渉の目的として貿易赤字縮小を含めた。

NAFTAは1994年に発効したが、それ以来、メキシコとの間の貿易収支は13億ドルの黒字から、2016年には640億ドルの赤字になった。

カナダとの間では、乳製品、ワイン、穀物、その他製品に関して市場アクセスの問題が生じている。貿易障壁の問題は現在の協定には含まれていない。

Digital Trade (ソフトウエア、音楽、ビデオ、e-bookなど)が新しく加わる。

現在、付帯条項となっている労働・環境義務も取り入れ、強化する。

またアンフェアな補助金、国営企業による市場を歪める慣行、知的所有権に対する重い制限などを取り除く。


2017/7/19 米通商代表部、NAFTA再交渉の協議目標を公表


これまでに4回の会合を終えた。

3カ国は8月20日、再交渉の第1回会合を終えた。年内の決着を目指し、政府間の協議を加速することで合意した。
3カ国は再交渉で野心的な成果を上げることで一致し、NAFTAのルールを改正する重要性を再確認した。初会合では20以上の交渉分野について協議した。

9月5日、第2回会合を終えた。

メキシコの経済相によると、25項目のうち電子商取引、中小企業対策など7項目について協議が進展しており、次回会合でまとまる可能性もある。一方、原産地規則に関しては米国側から具体的な提案はなかったとしている。

第3回会合は9月23~27日にカナダのオタワで開いた。

第4回会合は10月17日 閉幕した。3カ国は2017年内の妥結を断念し、2018年1~3月に先送りすることで一致した。

米国は自動車の関税をゼロにする条件として、現在の域内部材の62.5%以上使用を85%以上とするとともに、米国製部材を50%以上使うよう求めたほか、5年ごとに協定を見直す条項の導入などを提案したが、カナダ、メキシコが反発した。

なお、第5回会合は11月17日、開幕した。担当閣僚は参加せず、首席交渉官を中心に交渉する。

付記

第5回会合は11月21日に終了したが、重要項目では新たな対案や妥協はほとんどなく議論は平行線が続いた。

米国は、これまでの4回の会合で米国が出した要求を踏まえて再交渉での目標を見直し、今回発表した。

USTRのLighthizer 代表は声明で「これらの目標を達成できれば、NAFTAを近代化し、再びバランスが取れた協定にし、労働者、農家、牧畜業者、企業の利益に資するものとなる」と述べ、要求が通らない場合は脱退する可能性を示唆した。

主な目標は次の通り。

カナダが乳製品や鶏肉加工品、卵製品にかけている関税を撤廃するよう求め、米国からの輸出増をめざす。

補助金の支給や価格操作など、米国の輸出を阻むような不公正な政策もやめるよう求める。

企業の投資については、受け入れ国が技術を渡すよう強制したり技術の現地化を求めたりするのを禁じる。

知的財産では、特許や著作権で米国の基準並みに厳しく保護するよう要求する。

関税をかけない条件として域内での部材の調達比率を定めた「原産地規則」では、特に米国の生産品を使う規則をつくる。  
Update and strengthen the rules of origin, as necessary, to ensure that the benefits of NAFTA go to products genuinely made in the United States and North America.
Ensure that the rules of origin incentivize production in North America as well as specifically in the United States.

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