韓国の産業通商資源部は12月14日、「第8次 (2017-2031年)電力需給基本計画案」を策定した。文大統領の脱原発政策を受け、2015年に設定した「第7 次長期電力需給基本計画」を改定する。
今後、国会報告と公聴会、電力政策審議会を経て確定する。
産業通商資源部は2015 年7月、「第7 次長期電力需給基本計画」を明らかにした。
電力需要は平均年率2.1%で増加し、発電所の廃止を考慮すると、2029 年までに3,456千kWの新規電源を開発する必要があるとしている。最大電力は年率2.2%で増加する。
発電部門のCO2排出量を削減するため、新規電源の86.8%は原発で、2029 年までに原子炉2 基(150 万kW×2 基)を新たに稼働させる。
文在寅政権の脱原発方針に対応し、原発の新設は着工済みの5基にとどめ、運転期間を40年に限定し、11原発を停止する。現在24基(2250万キロワット)の原発を2030年に18基(2040万キロワット)に減らし、再生可能エネルギーやLNG発電を拡大する。
第8次電力需給基本計画の概要は次の通り。
最大電力需要:2030年で100.5GWとした。(第7次比 12.7GW 減)
成長率の鈍化とともにエネルギー管理システム(EMS)普及拡大などで効率を上げれば需要を減らすことができるとした。
なお、「第4次産業革命」の技術利用や、エネルギー効率を高める新規制導入などで、更に14.2GW減らすをことを求めている。
設備予備率:22%を維持。発電所の建設が遅れる確率などを勘案し、そのまま維持。
需給:最大需要に予備率を加算し、必要量は122.6GW、既計画能力は118.3GWで、4.3GWの追加が必要。
発電源:原発と石炭火力から再生可能エネルギーとLNGを中心に改編。
これにより、温室効果ガスを26%、粒子状物質量は62%減らす。
2030年時点の構成:
石炭火力 36.1% 36.8GW → 39.9GW 原発 23.9% 24基(22.5GW) → 18基(20.4GW)
新設は着工済み5基、運転40年で11基停止再生可能エネルギー 20% 11.3GW → 58.5GW 主として太陽光と風力発電。 LNG 18.8% 37.4GW → 47.5GW
注) 再生可能エネルギーは常時発電は不可能なため、能力と電力構成での発電量は異なる。
再生可能エネルギーについては、産業通商資源部は12月20日、韓国の電力全体に占める再生可能エネルギーの割合を2016年の7%から2030年には20%に引き上げることを目標に「再生可能エネルギー3020履行計画」を発表した。来年初めの再生可能エネルギー政策審議会で確定する。
出力が計48.7GWとなる再生可能エネルギーの発電設備を新たに備えることにした。発電能力1.4GWの原発なら35基に相当するもので、総額110兆ウォン(約11兆円)を要すると見積もられた。
再生可能エネルギーによる電力生産が天候に左右されやすいことを踏まえた。
新規設備のうち63%が太陽光発電、34%が風力発電となる。このうち、28.8GWを電力会社の事業により達成する。まず2018~2022年に5GW規模の事業を進め、残りの23.8GWについては、発電量のうち一定量を再生可能エネルギー電力で供給することを義務付けるRPS制度を活用し、比率を段階的に引き上げる。
残りの19.9GWは、自家用設備(2.4GW)と協同組合など小規模事業(7.5GW)、農家の太陽光発電(10GW)で賄う。自家用の太陽光発電の余剰電力は韓国電力公社が買い取る。
原発計画は下記の通り。
古里1号は2017年6月19日に停止し、稼働中は24基、このうち今後40年が経過するものは停止する。
文在寅大統領は選挙運動中に「新規の原発建設を全面中断し、建設計画を白紙化する」と公言しており、2017年4月14日、脱原発市民団体6団体と反原発についての政策協定を結んだ。
建設中の新古里4号機と新ハンウル 1・
2号機の建設を暫定的に中止し、 社会的合意を通じて運転の是非を決定する。
建設中の新古里5・6号機と建設計画中の新ハンウル3・4号機を白紙に戻し、許可を取り消す。
しかし、大統領は10月22日、建設途中の新古里原発5、6号機の工事再開を表明した。建設を暫定的に中止していた3基と合わせ、5基が新設される。
それ以外の、新ハンウル原発3、4号、天地1、2号機(盈徳郡)、建設予定地未定の原発2基の計6基の新規原発計画は白紙に戻した。
2017/10/26 韓国大統領、新古里原発5、6号機の建設再開を表明
運転開始 | 原子炉形式 | 容量 kW |
稼働中 | 停止済 | 建設続行 | 今後停止 | ||
ハンウル (蔚珍) |
1 |
1988/9/10 | 加圧軽水炉 (PWR) | 95万 | 〇 | x | ||
2 | 1989/9/30 | 加圧軽水炉 (PWR) | 95万 | 〇 | x | |||
3 | 1998/8/11 | 加圧軽水炉 (PWR) | 100万 | 〇 | ||||
4 | 1999/12/31 | 加圧軽水炉 (PWR) | 100万 | 〇 | ||||
5 | 2004/7/29 | 加圧軽水炉 (PWR) | 100万 | 〇 | ||||
6 | 2005/4/22 | 加圧軽水炉 (PWR) | 100万 | 〇 | ||||
新ハンウル | 1 | (2018/4) | KSNP (APR-1400) | 140万 | ◎ | |||
2 | (2019/2) | KSNP (APR-1400) | 140万 | ◎ | ||||
ハンピッ (霊光) |
1 |
1986/8/25 | 加圧軽水炉(PWR) | 95万 | 〇 | x | ||
2 | 1987/6/10 | 加圧軽水炉(PWR) | 95万 | 〇 | x | |||
3 | 1995/12 | 加圧軽水炉(SYSTEM80) | 100万 | 〇 | ||||
4 | 1996/3 | 加圧軽水炉(SYSTEM80) | 100万 | 〇 | ||||
5 | 2002/5/21 | KSNP(OPR-1000) | 100万 | 〇 | ||||
6 | 2002/12/24 | KSNP(OPR-1000) | 100万 | 〇 | ||||
月城 | 1 | 1983/4/22 | CANDU | 67.9万 | 〇 | x | ||
2 | 1997/7/1 | CANDU | 70万 | 〇 | ||||
3 | 1998/7/1 | CANDU | 70万 | 〇 | ||||
4 | 1999/10/1 | CANDU | 70万 | 〇 | ||||
新月城 | 1 | 2012/7/31 | KSNP(OPR-1000) | 100万 | 〇 | |||
2 | 2015/7 | KSNP(OPR-1000) | 100万 | 〇 | ||||
古里 | 1 | 1978/4 | 加圧水型(PWR) | 58.7万 | x | |||
2 | 1983/7 | 加圧水型(PWR) | 65万 | 〇 | x | |||
3 | 1985/9 | 加圧水型(PWR) | 95万 | 〇 | x | |||
4 | 1986/4 | 加圧水型(PWR) | 95万 | 〇 | x | |||
新古里 | 1 | 2011/2 | 加圧水型(PWR) | 100万 | 〇 | |||
2 | 2012/7 | 加圧水型(PWR) | 100万 | 〇 | ||||
3 | 2017/1 | 加圧水型(PWR) | 140万 | 〇 | ||||
4 | 間もなく | 加圧水型(PWR) | 140万 | ◎ | ||||
5 | 加圧水型(PWR) | 140万 | ◎ | |||||
6 | 加圧水型(PWR) | 140万 | ◎ | |||||
24 | 1 | 5 | 8+3 |
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