出光創業家、株式買い増し

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出光創業家は12月20日、株式買い増しを発表した。 創業家、出光美術館及び出光文化福祉財団の株式保有割合は、合計で28%を超えるとしている。

創業家は2016年8月に、日章興産と出光昭介氏、正和氏、正道氏の持ち株について共同保有の届出を行ったが、今回、出光昭介氏が代表社員及び業務執行社員を務める新設会社 宗像合同会社を共同保有に加えた。

創業家はこれまで合計で21.18%を保有し、出光文化福祉財団と出光美術館 を加えると、1/3以上の33.92%を保有していた。

しかし、会社側が2017年7月20日に第三者割当増資を行ったため、創業家持分は16.29%、出光文化福祉財団 と出光美術館を加えても26.09%に下がっていた。

創業家

株数 比率
発行済株数 160,000,000

54,272,000

33.92%
増資株数 48,000,000
増資後株数 208,000,000 54,272,000 26.09%


2017/7/3  出光興産、増資発表

今回、公募増資によって希釈化された創業家の株式保有割合を部分的に回復させるため以下の株式取得を行ったもの。

取得者 宗像合同会社
期間 11/7~12/18
株数 3,968,300株
取得価額 5,576,842円  
平均株価 @3,925

付記 12月27日に追加取得を発表した。
    「
創業家、出光美術館及び出光文化福祉財団の株式保有割合は、合計で約28.5%となっております。」


株式の推移は次の通り。

当初 増資後 買い増し後 付記 12/27
日章興産  16.95% 13.04% 27,119,900 13.04%
出光昭介  1.21% 0.93% 1,928,000 0.93%
出光正和  1.51% 1.16% 2,416,000 1.16%
出光正道 1.51% 1.16% 2,416,000 1.16%
宗像合同会社 3,968,300 1.91% 4,974,400
共同保有届け出 21.18% 16.29% 37,848,200 18.20% 38,854,300 18.68%
出光文化福祉財団 7.75% 5.96% 12,392,400 5.96%
出光美術館 5.00% 3.85% 8,000,000 3.85%
合計 33.92% 26.09% 58,240,600 28.00% 59,246,700 28.48%
発行済 160,000,000 208,000,000

これまでの経緯は次の通りで、創業家は出光興産と昭和シェルの合併に反対を続けている。

2015/8/3   出光興産と昭和シェル石油、経営統合で基本合意
2015/11/16   出光興産と昭和シェル、経営統合に関する基本合意書締結
2016/6/29   出光興産の創業家、昭和シェルとの合併「反対」
2016/8/5   出光創業家、合併阻止へ強攻策
2016/9/22   出光販売店の具申書
2016/9/27   出光興産と昭和シェルの合併をめぐる出光販売店と創業家の動き
2016/12/20   公取委、出光興産による昭和シェル石油の株式取得を承認
2016/12/20   出光興産、シェルから昭和シェル株式取得
2017/7/3 出光興産、増資発表

創業家は増資の差し止めを求めたが、東京地裁は7月18日、差し止め請求を却下する決定をした。「新株発行の主要目的が不当とは認められない」として出光側の主張を認めた。

創業家の持ち株比率を相当程度減少させ、支配権をめぐる争いを有利にする目的があったことは認め、出光側のベトナム製油所建設などの費用というのも的確な証拠がないとしたが、昭和シェル株の取得の際の借入金返済については弁済期を数カ月後に控え、資金調達の必要性が高いと認めた。

創業家側は東京高裁に即時抗告した。

東京高裁は7月19日、「新株発行の目的が不当であると認められない」として、申し立てを退けた東京地裁決定を支持し、創業家側の即時抗告を棄却する決定をした。

但し、高裁は「増資後、直ちに株主総会が開かれ、合併が議題になることをうかがわせない」としており、総会をすぐに招集できない。合併には時間がかかる。

今回の買い増しによっても、単独では、総会で合併を否決するための1/3には達しないが、再び不透明感が増してきた。

ーーー

付記

出光と昭和シェルは合併を一時棚上げする一方、5月9日に協働事業の強化・推進(名称:ブライターエナジーアライアンス)の趣意書を締結した。

両社は12月22日に進捗状況を発表した。

具体的なシナジーが実現されている主な領域としては、半製品やボトム留分の有効活用・交錯転送の解消を可能にする 7 製油所統合最適生産計画システムの一部運用開始、原油タンカーの共同配船、資材の共同調達、燃料油出荷基地の相互利用等で本年度分のシナジー効果として80億円を達成する見通しとなった。

http://www.idemitsu.co.jp/company/news/2017/171222.pdf

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