Dominion Energy Inc. は1月3日、Scana Corp. を79億ドルの株式交換で買収すると発表した。債務の継承を含めると146億ドルとなる。
SCANA は子会社群を通じて、South Carolina、North Carolina、Georgia州で電力及び天然ガス事業を行っている。
電力については子会社South Carolina Electric & Gas が South Carolina州に50万の顧客を持つ。
天然ガスについては、South CarolinaではSouth Carolina Electric & Gas、North Carolina州ではPSNC Energy、GeorgiaではSCANA Energyが担当し、3州合計で130万以上の顧客を持つ。
South Carolina Electric & Gasは合計5,800MWの発電所を持つ。V.C. Summer 原発2号機、3号機を建設中だが、断念した。
原子力 V.C. Summer 1号機 966 MW 石炭火力 Cope Station 430 MW Wateree Station 685 MW Williams Station 610 MW Natural Gas Jasper Generating Plant 875 MW McMeekin Station 250 MW Urquhart Station 650 MW 水力発電 5か所 820 MW
Dominion Energyは Virginia州 に本拠を置く電力、エネルギー会社で、Virginia州とNorth Carolina 州に電力を、West Virginia、Ohio、Pennsylvania、North Carolina 州に天然ガスを供給している。
総発電量は約25,700MWで、天然ガスについては15千マイルのパイプラインを持つ。
原子力 Connecticut州 Millston原発 2,087MW Virginia州 North Anna原発 1,893MW Virginia州 Surry原発 1,676MW 石炭火力 7か所 石油火力 3か所 Natural Gas 16か所 Renewable Dominionは現在、South Carolina州境までの天然ガスパイプラインAtlantic Coast lineを建設中で、South Carolina州ではその延長を望んでいる。延長すればSCANAの需要家に供給可能となる。
買収されるSCANAは下記の事情で苦境に立たされている。
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SCANA の子会社 South Carolina Electric & GasがV.C. Summer 原発に60%出資している(当初は55%であったが、その後 60%とした)。
South Carolina Electric & GasとSantee Cooperは2017年7月27日、東芝との間でV.C. Summer 原発2号機、3号機に関する親会社保証について合意書を締結し、東芝は両社に対し、2,168百万ドルを2017年10月から2022年9月までの間に分割で支払うこととなった。この支払は、2基の原発の建設、1基だけの建設、建設断念のいずれのケースでも行われる。
South Carolina Electric & Gasは7月31日、建設を断念すると発表した。完成を目指せば追加コストが膨らみすぎること、税額控除制度の延長が不明なこと等を勘案して決定した。事業継続も考えたが、共同事業者のSantee Cooperが撤退を決めたため、断念した。
既に90億ドルを投じているが、工事は40%以下しか進んでいない。2号機は2019年8月から2022年12月に、3号機は2020年8月から2024年3月にと3年以上遅れる見通しとなり、建設費も250億ドル以上と、当初の115億ドルの予想から2倍以上となる。
解体などにかかる費用約49億ドル (同社持ち分)を考慮しても現時点で建設中止したほうが、株主や顧客などにとってダメージは少ないと判断したという。
なお、South Carolina Electric & Gas 及びSantee Cooperは9月27日、東芝から受け取る予定の保証金のうち、2017年10月の支払い分を除く全てをCitibankに売却した。
総額の91.5%に割り引いた金額となるが、5年の分割よりも直払いを選択した。東芝の今後の支払い能力への懸念もあると思われる。2017/7/31 東芝、米原発の保証債務 6561億円で確定
V.C. Summer 原発の建設断念で、SCANAは苦境に立った。
SCANAは原発新設に積極的であったサウスカロライナ州の州法に基づき、建設費用の確保に向け、過去9回にわたり計18%の電力料金値上げを実施した。
州政府 は当初、仮に建設を断念しても値上げを認める方向であったが、実際に建設を断念すると、州知事は一転して値上げ撤回を要求した。これを受けSCANAは3.5%の値下げでの決着を提案し、「値上げ撤回なら巨額の損失が発生し、経営破綻しかなくなる」と訴えたが、州政府はあくまで争う構えである。
この状況下で、SCANAの株価も2017年7月には1株70ドル 以上であったが、現在は48ドル 程度となっており、時価総額の急減で、魅力的な買収標的となっていた。
なお、東芝は2017年12月27日、V.C. Summer 原発建設プロジェクトに係る集団訴訟に関し訴状を受領したと発表した。
原告側は、V.C. Summer 原発2号機、3号機の建設プロジェクト中止に伴い、原告がSCANAに払ってきた電力料金に含まれる建設プロジェクトコスト上乗せ分の損害を受けたとして東芝に対して損害賠償を求めている。
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今回、SCANA株主はSCANA株式1株当たりDominion Energy の株式 0.6690株を受け取る。最近1カ月平均のDominionの株価で換算すると1株当たり55.35ドルとなり、買収価額は約79億ドルとなる。負債込みでは約146億ドルとなる。
SCANA子会社のSouth Carolina Electric & Gas の顧客にとっても、建設を断念した V.C. Summer 原発2号機、3号機に関する過去及び将来の電気料金問題の解決を意味する。
Dominion はSCANA買収に当たり、下記のとおり発表した。
1) South Carolina Electric & Gas Companyの電力顧客に対し、統合完了の90日以内に13億ドルを支払う。
過去の電力料値上げ分の戻しで、平均的な個人顧客当たり1000ドルに相当し、統合合意の12カ月前の電力使用量に応じて支払われる。
2) 現在の電力料金から約5%引き下げる。平均的な個人顧客当たり月額7ドル以上に相当する。
これは、これまでに顧客から徴収した575百万ドルと、今回の税制改革での法人税引き下げで充当する。
3) V.C. Summer 原発2号機、3号機の償却費等(17億ドル以上)は顧客に負担を求めない。
4) 電力需要に対応するため、天然ガス火力(Columbia Energy Center) を180百万ドルで購入するが、顧客に追加負担を求めない。
5) これらに加え、Dominion EnergyはSCANAのコミュニティに、最低5年間、これまでより増額した100万ドルの慈善寄付を行う。
SCANAの従業員は2020年まで雇用を保証する。
Dominionによる買収後、SCANAはDominion の100%子会社として継続し、現在の経営構造を維持する。
DominionはSCANAの買収により、米南東部市場での存在を高め、米国での最大かつ高成長企業の一つとしての地位を確かにする。
統合企業は18の州で事業を行い、8州の約650万の顧客にエネルギーを供給し、31,400MWの発電能力、93,600マイルの送電網を持つこととなる。また106,400マイルの天然ガスパイプラインを持ち、1兆立法フィートという天然ガス貯蔵能力を持つこととなる。
上記の通り、Dominionが建設中のAtlantic Coast Pipelineを通じて、Dominionの天然ガスをSCANAの顧客に供給できる。
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