日本ペイント筆頭株主のWuthelam Group、取締役の過半を求める株主提案

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日本ペイントホールディングスの筆頭株主であるシンガポール塗料大手Wuthelam Groupは1月19日、日本ペイントHDの取締役候補として6人を推薦する株主提案を出したと発表した。

取締役の上限は10人で、3月の定時株主総会で可決されれば過半数を占める。


現在はWuthelamのGoh Hup Jin社長が取締役となっているが、元ジャスダック証券取引所社長の筒井高志氏や安川情報システムの諸星俊男社長など5人を社外取締役の候補とした。

Wuthelam Groupは現在、日本ペイントHDの株式の38.99%を有する筆頭株主。「現経営陣といたずらに対立するつもりはないが、6人が選ばれれば株主価値を最大化できる」としている。

付記

日本ペイントホールディングスはこの株主提案を受け入れ、ウットラムが推薦した6人全員を含む10人を会社提案の取締役候補として3月末の定時株主総会にはかる。
WuthelamのGoh Hup Jin社長が日本ペイントホールディングスの会長になる。

3月28日、定時株主総会を開き、ウットラムが推薦した6人を含む10人の取締役が選任された。

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両社の関連は下記の通り。

Wuthelam Groupはシンガポール国籍のGoh Cheng Liangが設立した企業グループで、現在は息子のGoh Hup Jin の一族が所有している。

Goh Cheng Liangは1955年にシンガポールで開業し、日本ペイントのディストリビューターとなった。

1962年に日本ペイントとWuthelamグループは、Nippon Paint Southeast Asia グループ(NIPSEAグループ)を設立。
その後、アジア各国で自動車や建築用塗料などを中心に、日本ペイントが技術、Wuthelamがマーケティングを担当して合弁事業を展開してきた。

その後の経緯:

1962 日本ペイントとWuthelamグループは、Nippon Paint Southeast Asia グループ(NIPSEAグループ)を設立。
 
日本ペイントはシンガポール、タイ、韓国、中国などのJVでは40%、その他ではそれ以下の出資比率
2006/5 基本合意
  合弁会社における日本ペイントの持株比率を51%以上とするよう協議する。
 
Wuthelamが日本ペイントの株式を最大10%まで取得(当時の持株は5%弱)
2008/12 Wuthelamが日本ペイントへの出資を14.51%に引き上げたことが判明、基本合意での「最大10%」を超えたため、この合意を一旦白紙に戻し、改めて協議することに。
 その後、日本ペイントはこれを認めた。
2013/1
2013/3
Wuthelamが日本ペイント持株を14.51%から約45%まで高める提案
提案取り下げ
  2013/1/23 シンガポール塗料大手、日本ペイントに買収提案 (各地のJVの両社出資比率 記載)
2014/2 日本ペイント、Wuthelamを引受先とする約1000億円の第三者割当増資 14.5%→30.3%
Wuthelam は、第三者割当後の2年間に限り、市場での購入で出資比率を39.0%まで増やす。
見返りに日本ペイントによる各地JVの出資比率引き上げ(51%へ)
 2014/2/6 日本ペイント、
Wuthelam Groupとの戦略的提携の基本合意
2014/12 手続きが完了
 Wuthelamの持株は38.99%となる。
 日本ペイントのアジア各社への出資比率は51%となる。


2017年11月に日本ペイントは米Axalta Coating Systemsに買収を提案したが、交渉を打ち切った。

2017/11/28 日本ペイント、米塗料大手に買収提案

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上記の経緯を見ると、日本ペイントは当初シンガポールでの同社のディストリビューターであったWuthelam と組み、日本ペイントが技術、Wuthelamがマーケティングを担当してアジア各国で合弁事業を展開してきた。

その間、Wuthelam は日本ペイントの持ち株を当初の5%弱から順次増やして14.51%とし、更にこれを45%まで高める提案をしている。
これは日本ペイントが拒否したが、2014年に第三者割当を行って
Wuthelam の持ち株を30.3%まで高め、更に39%までの買い増しを認めている。

見返りに得たものは、アジア各国でのJVの出資比率を51%にすることであった。

Wuthelamは日本ペイントHDの議決権の20%以上保有で支配株主となり、1/3 以上保有で株主総会の特別決議を単独で阻止できる
その場合、JVを含めた日本ペイントグループ全体がWuthelamの傘下に入ることとなり、日本ペイントが見返りに両社のJVの出資比率を51%にしてもあまり意味はない。

常識的に考えると、株式の39%を握るWuthelam が取締役会の過半を押さえようというのはおかしくはない。1割程度の他の株主から賛同を得れば株主提案が成立する。

日本ペイントとして、この点をどう考えていたのであろうか。両社の間で、日本ペイントHDの経営に関する何らかの取り決めがあったのであろうか。
日本ペイントHDは、「対応は今後検討する」とコメントしており、何らかの取り決めがあったようには見えない。

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