NY連銀の「基調的な物価指標」

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2017年12月のCPIとPCE(個人消費支出統計)が発表された。
食品とエネルギーを除いたコアCPIは1.8%、コアPCEは1.5%で、目標の2%に達しない。FRBはPCE(個人消費支出統計)を重視している。

これに対し、雇用統計は景気の回復を示している。

2017年12月の米雇用統計(非農業部門、季節調整済み、速報値)は +14.8万人で、失業率は完全雇用水準を下回る4.1%であった。

 

イエレンFRB議長(2月3日退任)は2017年9月20日の記者会見で、予想外のインフレ鈍化を「謎」と呼んだ。


1月27日付 日経夕刊のウォール街ラウンドアップによれば、一部の市場関係者はニューヨーク連銀が公表する「基調的な物価指標(UIG)」に注目する。
NY連銀は、UIGは過去に「インフレの転換点を示す正確なシグナルになってきた」としている。

基調的な物価指標(UIG)はNY連銀が発表するUnderlying Inflation Gaugeのことで、「幅広い価格、実際の経済活動、金融データに含まれる情報からインフレの動きを捉えるもの」である。
https://www.newyorkfed.org/research/policy/underlying-inflation-gauge

2種類の指標を発表している。

"Prices-only" はCPIを構成する価格指標を編集しなおしたもの。

"Full data set" はこれに企業景況感や労働・金融指標などを加え算出する。

Real Variables 製造業、非製造業の動き(受注、生産、雇用、・・・)
Labor 雇用に関する長期間のデータ
Money Money Supplyなど
Financials

https://www.newyorkfed.org/medialibrary/media/research/policy/underlying_inflation_gauge_uig/uig_data-appendix-to-variables_data.pdf?la=en

"Full data set" UIG は2017年12月は2.98%と、2006年8月以来の高さにある。

2016年末から急上昇しており、加熱ではないかとさえ思える。

今後はトランプ減税で国内の投資が増加し、逆に移民政策で労働人口が減ると、どうなるか、心配である。

この状況で物価のみが上がらないのは、ニューヨーク大学のNouriel Roubini教授が論文(The Mystery of the Missing Inflation )で述べているように、 先進国のSupply Shockによって、既にインフレの新しい正常状態に達しているのかも分からない。

国際決済銀行はこの立場をとっている。「インフレ目標を2%から0%に下げるべきだ」と主張している。永続的な供給ショックを前提にすれば0%が正常なインフレ率であるとする。
それなのに2%を目標とし続ければ、過度な金融緩和でリスク資産の価格を押し上げ、バブルを起こしてしまう。
中央銀行は、次の金融危機を避けるため、早く金融正常化政策をとるべきであるとする。

2017/10/3 The Mystery of the Missing Inflation (物価上昇が消えた謎)

米国の場合、物価は目標の2%に達していないが、早くも2014年1月から債権買い入れ額を減らし始め、2014年10月末で買い入れを停止した。
2015年12月には
フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を 0%~0.25% から0.25%~0.50% に引き上げることを決めた。
利上げは約10年ぶりで、米経済は2007-09年の金融危機による打撃を概ね克服したとの認識を示した。

2017年12月には5回目の利上げで、1.25%-1.50%のレンジにすることを決定した。



これに対し、日本銀行はCPI 2% を目指し、先進国で唯一、金融緩和を続けている。

国際決済銀行の立場が正しいなら、いつまでたっても2%は達成できず、金融緩和の悪影響が懸念される。

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