宇部興産と三菱ケミカル、中国の電解液事業合弁会社発足

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宇部興産と三菱ケミカルは1月15日、両社の中国におけるリチウムイオン電池用電解液事業の合弁会社が1月から運営を開始したと発表した。

両社は2016年10月13日付で、両社の中国におけるリチウムイオン電池用電解液事業で提携することについて合意したと発表し、中国並びに関係各国の競争法当局の許認可取得に向けた手続きを進め、中国における両社の電解液事業を2017年4月を目処に合弁形態での運営体制に移行する予定としていた。

当初予定からは遅れたが、今般、中国及び関係各国における競争法の手続きが完了し、本年1月より合弁会社の運営を開始した。

両社は、中国における当該合弁会社の運営において両社の知的財産や開発力を活用することで、技術力とコスト競争力を更に強化するとしている。また、グローバルでの電解液事業の提携についても引き続き検討する。

JVの概要は下記の通り。

社名 常熟宇菱電池材料有限公司
(Changshu UM Battery Materials Co., Ltd.

 当初名は常熟菱鋰電池材料で、三菱ケミカル100%

場所 江蘇省常熟経済技術開発区
株主 三菱ケミカル:100%→50%
宇部興産:0%→50%
製造能力 年産 10,000トン
販売能力 上記のほか、宇部の常熟市の子会社(能力5,000トン)の営業権譲受


発表では、両子会社の製造拠点は常熟(旧三菱ケミカル電解液子会社の製造拠点)に集約しているとしている。

しかし、宇部興産の製造拠点は下記の通り、江蘇省張家港市にある。これを移転したのかどうか、不明。
また、宇部の製造拠点は当初はDow とのJVであったが、現在は宇部100%となっており、これをJVに含めなかった理由は不明。

また、2016年10月の両社の発表では、両社の電解液製造拠点を列挙しているが、何故か宇部の米国拠点は除かれている。


両社の電解液事業の状況は下記の通り。(合弁設立前)

三菱ケミカル

社名 三菱ケミカル MC Ionic Solutions US, Inc MC Ionic Solutions UK, Ltd. 常熟菱鋰電池材料
(今回 JV化)

場所 四日市 テネシー州メンフィス市
(Lucite
の工場内)
英国 ストックトンオンティーズ市
Lucite の工場内)
江蘇省常熟市
株主 三菱ケミカル 100% 三菱ケミカル 100% 三菱ケミカル100%
設立 2010年 2010年 2012年
能力 13,500t 10,000トン 10,000トン 10,000トン

宇部興産

社名 宇部興産

Advanced Electrolyte Technologies LLC

AET Electrolyte Technologies (Zhangjiagang)
場所 ミシガン州トロイ市 江蘇省張家港市
株主

宇部興産 100%
当初Dow との50/50JV
その後 宇部70%→80.5%
→100%
Advanced Electrolyte Technologies LLC
設立 2011 2012
能力 10,000t 5,000t 5,000t

宇部興産は電解液原料の高純度DMC製造のJVを持つ。

社名 中盐安徽红四方宇部新材料科技有限公司
(CNSG Anhui Hong Sifang & UBE New Material Technology Co., Ltd.)
場所 安徽省合肥市(中塩紅四方の敷地内)
株主 中塩安徽紅四方股份有限公司 50%
宇部興産 40%
その他 10%
設立 2016年末
能力 年産1万t
備考 2016/3 宇部は中塩紅四方宇部のジメチルカーボネート(DMC)技術を供与するためのライセンス契約を締結

中塩紅四方からDMCの一部を引き取って高純度化し、江蘇省張家港市にあるUBEグループのリチウムイオン電池(LIB)用電解液工場(AET Electrolyte Technologies(Zhangjiagang)Co., LTD)に供給すると共に、中国市場の電解液メーカーへ販売

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