伊藤忠、シェルからイラク油田の権益取得

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Royal Dutch Shell は1月15日、イラクの西クルナ油田(West Qurna Phase 1)の権益を伊藤忠に売却することで合意したと発表した。金額は明らかにしていない。
イラク石油省はこの売却を承認した。

報道ではShellが売却した持分を20%としている。但し、下記の通り、Shellの持分は15%の筈で、報道が誤りなのか、他に理由があるのか、不明である。

Shellはまた、イラクのMajnoon油田の権益も6月末にイラク国営のBasra Oil Companyに売却する。但し、Shellはイラクの天然ガスの権益は保有し続ける。

Majnoon油田はWest Qurna油田の東にある(下の地図)。
2010年1月にイラクの石油第二次入札で、ShellとPetronasが20年間の契約を締結した。
国営石油会社Missan Oil が開発に加わり、Shell がオペレーターとなっている。持分はShellが45%、Petronasが30%、イラクのMissan Oil Company が25%となっている。

Shellは別途、英国領北海の Penguins 油・ガス田の再開発の投資を決定したことを発表した。浮体式生産貯蔵積出設備(FPSO)も建設する。
この油・ガス田はこれまで、4つの採掘基地をBrent Charlie platformに接続していたが、Brent Charlie platformの停止で、FPSOが必要となったもの。


伊藤忠が取得するWest Qurna Phase 1 油田はイラク南部にあり、同国の油田で最大規模を誇る。

この油田は、イラク政府が2009年に国際入札を実施した第一次油田開放の一つで、ExxonMobilとShellが獲得した。

2009/11/12 イラク、第一次油田開放で進展

West Qurna 1 は1973年に発見された。推定埋蔵量は87億バレル。現在の生産量は日量405千バレル程度。

同油田の権益比率は、当初はExxonMobilが60%、Shellが15%、イランのOil Exploration Companyが25%であった。

しかし、ExxonMobil は2013年11月に、そのうちの25%分をPetroChinaに、10%分をPertaminaに売却し、現在の持分は25%となっている。

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なお、2009年12月にロシアのLukoil と ノルウェーのStatoilはWest Qurna Phase II の権利を取得した。
持分はLukoilが56.25%、Statoilが18.75%、イラク国営石油が25%であった。

Lukoil は1997年にサダム フセインとの間でこの油田開発で37億ドルの契約にサインしたが、フセインは2002年にこれをキャンセルした。
モスクワはフセイン失脚後にこれの復活を求め、イラクの129億ドルの債務を帳消しにしている。

その後、2012年3月にStatoilが持分をLukoilに売却したため、現在はLukoilの持分は75%となっている。

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