Saudi Aramco、上場に備え企業形態を変更 

| コメント(0)

サウジアラビア政府は1月1日付で、国営石油企業 Saudi Aramcoの企業形態を 、年内の部分上場に備え、株式売買が可能な Joint Stock Companyに変更させた。
これにより、サウジ政府以外の投資家がAramco の株主になることができる。

Aramco は発行済み株式 2000億株、払い込み済み資本金600億riyals (160億米ドル)となっている。

世界最大の石油企業である同社は本年下半期に株式の5%を内外市場で公開する予定。
同社の時価総額は2兆米ドルに達する可能性があり、5%の売却で1000億ドルの資金を調達出来る可能性がある。

上場が遅れるのではないか、棚上げになるのではないかとの憶測が出回っていたが、これを打ち消すことにもなる。

上場後もサウジ政府は最大株主であり、今後も生産レベルと生産能力を最終的に決定する権利を保有し続けるとしている。「サウジ政府は、ハイドロカーボンの最大生産レベルを最終的に決定する責任をもつ唯一の存在であり続ける」と述べた。

上場する市場(複数)については、New York、London、Tokyo、Hong Kong などが候補として挙がっている。
別途、サウジ市場だけでの単独上場や、特定の戦略的投資家を対象とするIPOもオプションとして残っているとされる。

また、PetroChina と Sinopec がAramco 株の最大5%を直接買収することを申し出たとの噂もある。

Aramco はIPOの幹事にGoldman Sachs と Citigroup を起用するとされる。JPMorgan Chase、HSBC Holdings、Morgan Stanley も Global Coordinator に指名される見込み。

付記 ロイター通信は、Aramcoが国外上場候補をNew York、London、Hong Kong の3か所に絞り込んだと報じた。


Aramco の部分上場は、サウジ政府が進める脱石油依存を図る経済構造変換の要の政策となっている。

サウジアラビアのサルマン国王は2017年6月21日、王位継承順位2位の Mohammad bin Salman 国防相兼副皇太子を皇太子に昇格させる異例の人事勅令を出した。

新皇太子は、国防相として、イランへの強硬路線を取り、カタールとの断交も主張したとされる。イエメン内戦への軍事介入も指揮した。

新皇太子はまた、サウジ経済の改革を担当している。

新皇太子が統括するCouncil of Economic and Development Affairs (CEDA) は、2030年までの経済改革計画「ビジョン2030」を作成、サウジ政府は2016年4月25日、国王主宰の閣議でこれを承認した。

石油依存型経済から脱却し、投資収益に基づく国家を建設していく。

公的投資基金(PIF)の資産を6,000億リヤールから7兆リヤール(約 2兆ドル)に増やす。

目標を達成するための手段として、
国営石油会社Saudi Aramcoの5%未満の新規株式公開(IPO)
・ 民営化による透明性の向上と 汚職抑制
・ 軍事産業の育成による国内調達の軍装備品支出の割合を50%まで拡大、
・ 外国人による長期的な労働・滞在を可能するグリーンカード制度の5年以内の導入
などがあわせて発表された。

2017/6/29 サウジ、副皇太子が皇太子に昇格、副首相に就任、国防相などのポストは継続

2017/11/8 サウジ、汚職撲滅を掲げ、王子ら多数を逮捕




コメントする

月別 アーカイブ