同社は債権の売却に関し、機関投資家・ファンドなどを参加者とした入札プロセスを実施、法律事務所の助言を得ながら検証した結果、 今回の売却先2社からの共同提案が、東芝の企業価値向上及びWH再生手続全体の円滑な進捗に最も資するとの包括的な観点から、債権譲渡契約及び株式譲渡契約をそれぞれ締結した。
東芝はこれに併せ、WHの再生手続の主要な利害関係者であるWH、債権者委員会、 及び今回の売却先2社との間で、支援契約を締結した。
これにおいては、WHを含む申立対象会社の再建計画やBrookfieldによる買収への協力関係、配当順位を含む再建計画の主要条件、再建計画への投票・裁判所認可までのスケジュール等について当事者間で合意しており、再生手続の適切な完了、及び早期終結に資するものとなってい る。
概要および影響は次の通り。
売却対象 | 売却先 | 売却額 | 東芝損益 | |
株式 |
1) Toshiba Nuclear Energy Holdings (US) Inc. 2) Toshiba Nuclear Energy Holdings (UK) Limited |
Brookfield Business Partners LP (WHの新スポンサー:下記参照) |
1ドル(*1) |
東芝として評価減しているため、影響なし |
債権 | 1) 親会社保証代位債権(*2) 5,788百万ドル 2)その他債権 2,284百万ドル 合計 11,576百万ドル |
Nucleus Acquisition LLC (The Baupost Group LLC傘下のコンソーシアム) |
2,160百万ドル (約2,441億円) |
東芝として評価減しており、簿価はゼロ 売却益 約2,400億円 税引後利益 約1,700億円 ーーー 有税で引当てしている保証損失を損金算入 合計 税引後利益 4,100億円 |
(*1) 出資持分への配当順位は、他のすべての債権への配当に劣後することとされていることから、株式は実質的な経済的価値を有さない。
(*2) 親会社保証の代位債権も、同様とみられる。
カナダの投資ファンドのBrookfield Asset Management Inc.は1月4日、傘下のBrookfield Business Partnersが東芝の元子会社の米原発大手Westinghouse (WH) を46億ドルで買収すると発表した。欧州の事業も含む。
同社と複数のパートナーが自己資本10億ドルと長期借入金30億ドルで買収する。残り6億ドルは、資金不足となっているWHの年金基金や、環境関連やその他の債務の引き受け。
Brookfield は50%程度の株式を握る。
Brookfield group はユーティリティ、不動産、エネルギー、インフラのような長期安定資産に投資する世界でも最大の投資家の一つである。
2018/1/9 カナダの投資ファンド、米Westinghouseを買収
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代位債権
東芝は1月12日、V.C. Summer原発に関する親会社保証を早期弁済したと発表した。Vogtle 原発に関する親会社保証は2017年12月14日に早期弁済しており、親会社保証に係る支払い義務を完済したことになり、これはWHに対する代位債権となった。
弁済内容は次の通り。(百万ドル)
相手先 | 原発 | 保証金合計 | 支払済み |
先取特権 |
残高一括払い | |
Southern電力 | Vogtle | 3,680 | 455 | 3,225 | 2017/12/14 | |
South Carolina Electric & Gas、 Santee Cooper |
V.C. Summer | 2,168 | 247.5 |
60 | 1,860.5 | 2018/1/12 債権譲渡先Citibankに支払い |
合計 | 5,848 | 702.5 | 60 | 5,085.5 |
代位債権は先取特権分を除いた5,788百万ドル。
増資と今回の債権譲渡で、これが2600億円のプラスとなり、中国等の承認を得て東芝メモリの売却が確定すれば更に強固なものとなる。なお、東芝メモリ売却で、税負担が追加で軽減されるとのこと。 (単位:億円)
2017/11/9 発表
増資 保証弁済
債権譲渡東芝メモリ
売却18/3予 東芝メモリ売却
の税額影響売上高 49,700 営業損益 4,300 債権譲渡(税引後) 1,700 株式売却(税引前) 10,800 株式売却関連税金 -3,400 保証損失引当の
損金算入(税金圧縮)2,400 非継続事業純損益 - - 純損益 2,300 -3,400 +4,100 +10,800 増資 6,000 株主資本 -4,100 -7,500 -1,500 2,600 13,400
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