富士フィルム、米国Xerox Corporationを買収

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富士フィルムHDは1月31日、米国Xerox Corporationとの間で以下の点で合意したと発表した。
 ①富士フィルムHDがXerox Corporatの50.1%を取得、Xeroxは社名をFuji Xeroxに変更、NYSEの上場を維持
 ②富士フィルムHDの子会社の富士ゼロックスとXerox Corporationの経営統合

富士フィルムとXeroxは56年間に亘り、富士ゼロックスを通じて多角的な相互協力を深めてきたが、富士ゼロックスが成長市場のアジアを中心にするのに対し、Xeroxが基盤とする欧米では、ペーパーレス化でコピー機の需要が減少している。

富士ゼロックスは当初は50/50であったが、2001年にXerox の経営不振で 、富士フィルム75%出資に変更した。
テリトリーは、Xeroxは
欧米中心、富士 ゼロックスは、日本、中国などアジア・太平洋となっている。

Xerox については最近、米の大手投資家の Carl Icahn が別の大株主との共同で富士ゼロックスの解消も含めた見直しを要求していることが報じられていた。合弁終了または、有利な条件での再交渉を求めている。
また、最高経営責任者の解任を含め、Xerox の抜本的な経営改善も求めている。

富士フィルムは、Xeroxの買収により、Xeroxと富士ゼロックスを一体化し、世界最大規模の売上高を誇るドキュメント企業とする。
統合効果発現により売上増及びコスト改善を通じた収益力向上を見込み、ドキュメントソリューションカンパニーとして事業成長を加速させる。

Xeroxによれば、現在のXeroxの株主は25億ドル(1株当たり $9.80)の配当と新会社Fuji Xerox の株式 49.9% を与えられる。残り50.1%は富士フィルムが保有する。
既存株主は、多額の現金と、富士ゼロックスと統合して著しく強化された新会社(Fuji Xerox)の株式を保有することとなるとしている。

  

富士フイルムHDは、富士ゼロックスにより自己株式として取得された対価を活用して、Xeroxの新株50.1%を取得する。
富士フイルムHDおよび富士ゼロックスの現金の外部流出はない。

1) 富士ゼロックスが 6,710億円を銀行借入
2) 富士ゼロックスが 6,710億円で富士フィルム保有の富士ゼロックス株を取得 (結果としてXeroxの100%子会社になる)
3) 富士フィルムは受領した6,710億円(61.8億ドル)で新Xeroxの株式 50.1%を取得 
4) 新Xerox は100%子会社となった富士ゼロックスの銀行借り入れを富士フィルムから受け取った6,710億円で返済する。

5) 新Xerox は旧Xerox 株主に、新Xerox株式の49.9%と特別配当25億ドルを支払う。

(まとめ)
富士フィルムは富士ゼロックスの75%分を6710億円と評価し、これを新Xeroxに渡すことにより、新Xeroxの50.1%を受け取る。
Xerox の既存株主は、Xeroxの株式100%の代わりに、新Xeroxの49.9%と特別配当25億ドルを受け取る。

新しいFuji Xerox は現Xerox本社(米国コネチカット州)および現富士ゼロックス本社(東京都港区)の両方を本社として活用 する。

本件は、富士フイルムHDは1月31日、ゼロックスは米国時間1月30日の各取締役会において全会一致で承認された。

付記

米ゼロックスの筆頭株主で「物言う株主」として知られる著名投資家のCarl Icahnは2月12日、同じく大株主のDarwin Deasonと共同で、富士フイルムによる買収に反対する声明を公表した。2人はゼロックスの株を合わせて15.2%保有する。

主張は次の通り。

ゼロックス単独で経営を続けても、経営者を一新し、セキュリティーやソフトウエア分野への事業シフトや販売網の再構築を実行すれば、ゼロックスの株主価値を大きく引き上げることができる。
「富士フイルムにこの会社を奪われてはならない」と他の株主に呼び掛けている。

富士フイルムがキャッシュを一切使わない買収スキームも問題視。ゼロックス株主に対して支払われる25億ドルの特別配当がゼロックスの資産から支払われる点にも難色を示している。

買収交渉でゼロックス経営陣が株主価値を十分に考慮したか疑わしく、交渉過程の詳細を公開することを求める。


新富士ゼロックスの戦略の方向性:

  • 全世界統一のマーケティング戦略に基づき、オフィス市場において、競合を凌駕する製品・サービスを提供し、各地域でのシェアアップ、グローバルアカウントの獲得をより一層加速。
  • R&D、生産、調達、物流などすべてのバリューチェーンを最適化することにより、新製品のタイムリーな市場投入とコスト競争力の向上を実現。
  • 富士フイルムHDが得意とする画像処理技術と新富士ゼロックスが持つドキュメント関連のAI技術の融合により、業界や顧客ごとに異なる業務プロセスを自動化し、生産性のさらなる向上を実現するソリューション・サービスを提供。
  • 富士フイルムHDが保有する写真、インクジェット、フォトリソグラフィ(*)、オプティカルなどの先進技術と新富士ゼロックスが持つドキュメント分野の技術の融合という競合他社にはない組み合わせにより、革新的な製品開発を実現し、市場領域を拡大。
* 写真現像技術を応用して微細なパターンを作成する技術。例えば半導体の製造工程などで用いられている。


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