朴槿恵前政権で起こった国政介入事件で朴前大統領と長年の知人の崔順実被告への贈賄罪などに問われ、一審で懲役5年の実刑判決を受けたサムスングループ経営トップのサムスン電子副会長、李在鎔被告らの控訴審判決公判が2月5日開かれた。
控訴審は2017年12月27日に結審したが、検察側は懲役12年を求刑していた。
2017/12/30 サムスン副会長の控訴審、検察側12年求刑
ソウル高裁は地裁判決を破棄し、李被告に新たに懲役2年6カ月、執行猶予4年を言い渡した。李被告は約1年ぶりに釈放された。
2人の部下も執行猶予判決で釈放された。
2017年8月の一審では5つの起訴事実すべてが有罪とされたが、高裁は焦点となっていた贈賄の一部と海外への不正な送金などを無罪とした。
李被告が闘病中の父李健熙・サムスン電子会長から経営権を継承するため、朴被告に便宜供与を求めて賄賂を渡したとされたが、裁判所は大統領に依頼するようなことは無かったとしてこれを認めなかった。
サムスンが崔順実被告のドイツ法人であるCore Sportsと220億ウォン台のコンサルティング契約を結び、このうち38億ウォンを送金した件については、賄賂とは認めたが、違法な送金とは認めなかった。
これについては、最も悪いのは朴槿恵と崔順実で、韓国で最も力のある朴槿恵がサムスンに強要し、崔順実は朴槿恵との関係を利用して私腹を肥やしたとした。
下級審が、政治家と財界の典型的な癒着であるとしたのと大きく異なる。
朴槿恵被告の要請を受けて崔順実被告の娘の乗馬訓練のスポンサーになったことについては、弁護側は、李在鎔被告は部下がやったことを何も知らないとしたが、裁判所は有罪とした。
サムスンではトップ不在が長引き、大型M&Aや新事業を含む経営への影響が懸念されていたが、執行猶予判決で同被告は経営に復帰する。
付記 朝鮮日報は2月6日の社説で以下の通り述べている。
一審では崔順実被告らに対する乗馬支援などに関して具体的な請託などなかったことは認められたが、「黙示的請託」なるものがあったとして懲役5年の実刑が宣告された。サムスングループの経営権継承という懸案をめぐり、朴前大統領と李氏が以心伝心で「心の中で請託が行われた」として実刑を宣告したのだ。裁判官が実際の証拠ではなく他人の心中を勝手に判断し「心の中の請託」があったとして有罪判決を下すなど絶対にあってはならないことだ。
この無理な判決は今回の二審でほぼ正された。二審で裁判長は「李氏が朴前大統領に請託を行った証拠はない」と認めた。言うまでもなく実際に提出された証拠も一切なかった。サムスン物産と第一毛織の合併や、サムスン生命の金融持ち株会社への転換は李氏に経営権を継承するためだったとは言えず、朴前大統領も経営権継承について把握していたとは考えられないというのが裁判長の判断だ。また誰が見ても請託が行われたと言える状況でもなかった。「心の中の請託」などその前提自体が成立しないことを裁判長が認めたのだ。
この事件を最初に捜査した検察は、事件の性格について当初「朴前大統領の強要によるもの」と判断したが、それを特別検事が「贈賄事件」へと勝手に変えた。朴前大統領に厳しい判決を下すため、事件の構図を思いのままに変更したのだ。
付記 サムスン側、検察側がともに判決を不服として上告した。
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