国際石油開発帝石、アブダビの下部ザクム油田の権益取得

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国際石油開発帝石(INPEX)は2月26日、UAEのアブダビの沖合の下部ザクム油田について、本年3月9日から2058年3月8日までの40年間の利権を取得する契約を締結したと発表した。

また、2017年1月15日に25年間の権益延長の基本合意をしているサター油田及びウムアダルク油田(合計生産量:日量約3.5万バレル) について権益期限の延長の契約を締結した。
ウムアダルク油田については権益比率の12%から40%への増についても契約した。

下部ザクム油田については、従来の12%から10%に減る。また、残る3油田については、従来12%の権益を持っていたが、ゼロになった。
これら4油田については、中国やインドなどが参入を狙うなど激しい国際競争のなか、下部ザクム油田を最優先に交渉した。政府要人が繰り返し訪問した。

ウムアダルク油田の権益比率の増や、増産を合わせ、INPEXの持分は日量約25万バレルから2020年代半ばに約28万バレルに拡大する。

2014年に15年延長した上部ザクム油田は、日量約70万バレルから最終100万バレルに増強する。

2015年に権益取得した陸上ADCO鉱区(下記)は日量約160万バレルから2018年末に180万バレルに増強する。

下部ザクム油田は日量約45万バレル、ウムアダルク油田は約2万バレル、サター油田は2.5万バレル。


アブダビ沖合のADMA鉱区では、石油公団(当時)が保有するジャパン石油開発(JODCO)が下記の7つの鉱区で権益を持っていたが、INPEXは2004年5月に、ジャパン石油開発の全株式を株式交換により取得し、同社を完全子会社化した。

契約地域(鉱区)

当初権益比率

JODCO ADNOC その他
ウムシャイフ油田 12% 60% BP   14.67%
TOTAL 13.33%
ナスル油田
ウムルル油田
下部ザクム油田
上部ザクム油田 12% 60% ExxonMobil 28%
ウムアダルク油田  12% 88%

サター油田(SARB) 40% 60%

これらの油田は 相次いで期限が来るため、延長交渉を行ってきた。

上部ザクム油田(2026年3月9日期限)

INPEXは2014年1月、これを2041年12月31日まで15年余 延長することを決定した。

ウムアダルク油田とサター油田(2018年3月8日期限)

世耕経済産業相は2017年1月15日、訪問先のUAEでアブダビ国営石油会社(ADNOC)のCEOと会談し、INPEXが保有するアブダビ海上のサター油田及びウムアダルク油田(合計生産量:日量約3.5万バレル)の権益期限の延長(25年間)とウムアダルク油田の権益比率増に基本合意した。

今回、これに基づき契約を締結した。ウムアダルク油田 の権益は40%となった。INPEXは契約に当たり、250百万ドルを支払う。

なお、アブダビ国営石油会社は2018年2月18日、スペインのCepsaとの間で、サター油田とウムルル油田の20%の権益を与える契約を締結している。
Cepsaは15億ドルを支払う。

問題は残る4つの油田で、ジャパン石油開発はそれぞれ12%の権益を持つ。
2018年3月に期限がくるが、生産コストが安く探鉱リスクもないことから、BPやTOTALが比率拡大を狙うほか、中国も新規参入を目指しており、今後、激しい国際競争が予想された。ADNOCは2017年8月7日、他数(more than a dozen )の相手と交渉中であると発表した。

下部ザクム油田

今回、ジャパン石油開発は10%の権益を取得した。2058年3月8日までの40年間の権益で、契約に際し、6億ドルを支払う。

ADNOCは2月10日、10%の権益をONGC Videshなどインド企業3社のコンソーシアムに与えた。

ADNOCは現在の持分60%のうち20%を今後譲渡することを明らかにしており、合計40%が外部企業に渡されることとなる。

ウムルル油田

上記の通り、スペインのCepsaに20%が与えられた。

ウムルルを含め、3つの油田の権益についてはADNOCが最終の詰めを行っている。

鉱区

今回改正(青字は変更点)

新期限
JODCO ADNOC その他
ウムシャイフ油田

12%→0%

60% 未定 40%
ナスル油田 60% 未定 40%
ウムルル油田

60%

Cepsa 20%
未定 20%
2058/3/8
下部ザクム油田 12%→10% 40% ONGC Videsh 10%
未定 40%
2058/3/8
上部ザクム油田 12% 60% ExxonMobil 28% 2041/12/31
ウムアダルク油田 12%→40% 60% 2043/3/8
サター油田(SARB) 40% 40%

Cepsa 20%

2043/3/8

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なお、国際石油開発帝石(INPEXは2015年4月27日、ジャパン石油開発(JODCO)がアブダビ首長国の陸上のADCO鉱区の5%の参加権益を取得し2015年1月1日からの40年間を契約期間とする利権契約を同国政府及びアブダビ国営石油会社(ADNOC)と締結したと発表した。

2015/4/29 国際石油開発帝石、アブダビ首長国の陸上ADCO鉱区の権益取得

ADCO鉱区は4つの地域に分かれている。

1)SE Hub (South East Asset)

Asab 油田 
Sahil 油田 
   
Shah 油田    
Qusahwira 油田
Mender 油田  

2)Bab Asset

3)Bu Hasa/Huwaila/BQ Assets

Bu Hasa 油田  
Huwaila 油田   
Bida Al-Qemzan (BQ) 油田 

4) North East Bab (NEB)

Dabbiya 油田
Rumaitha 油田
Shanayel 油田


ADCO鉱区は
ADNOCが60%、BP、Shell、Exxon Mobil、Total が各9.5%で計38%、ポルトガルのPatex Oil and Gasが2%であったが、これら各社の権益は2014年1月10日に期限切れで失効した。

新しく2054年12月31日までの40年間の権益が与えられることとなり、各社が応札した。

最終の 権益は下記の通り。

ADNOC 60%
Total、BP 各10%、CNPC 8%、
ジャパン石油開発 5%、中國華信能源(CEFC China Energy) 4%、GS Energy 3%


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