中国商務部、BayerのMonsanto買収を条件付きで承認 

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中国商務部は3月13日、公告31号を出し、BayerによるMonsanto買収を条件付きで承認すると発表した。

中国はこの買収に関連して、下記の点を問題にした。

中国での非選択性除草剤市場 (MonsantoがNo.1、BayerがNo.3で、合計シェアは非常に高い)
中国の
長日照タマネギ種子市場(Bayer シェア 40-50%、Monsanto シェア 10-15%)
中国の人参種子市場 (Bayer シェア 45-50%、Monsantoシェア 15-20%)
中国のトマト種子市場
世界市場での、コーン、大豆、綿花、菜種の品種での競争制限
世界のデジタル農業市場での集中
  デジタル農業ではMonsantoが先行、
  Bayerは2016年に進出、
農地ごとの最適な農薬選びや投与する量・時期、感染病対策などを伝えるサービス開始

商務部は承認に当たり、次の条件をつけた。

1) Bayerの世界の野菜種子事業、関連設備、人員、知財その他の処分

2) Bayerの非選択性除草剤(
グルホシネートアンモニウム塩)事業と関連設備、人員、知財その他の処分

3) Bayerの世界のコーン、大豆、綿花、菜種の品種と関連設備、人員、知財その他の処分

4) 中国でのデジタル農業
   Bayer、Monsanto、および統合会社の中国市場でのデジタル農業製品の商品化の5年以内に、
   中国の全ての農業ソフトウエア開発企業は、正当で差別的でない条件で、ソフトウエアの使用を認められること。

ーーー

EUは2017年8月22日、本件についてのin-depth investigation を開始した。
買収によって農薬や種子などの分野で、競争が損なわれ、販売価格の上昇や品質の低下、選択肢の減少、技術革新の停滞などにつながる懸念があるとの暫定的な判断を示した。
2018年1月8日までに買収を承認するかどうか判断するとした。

これを受け、Bayerは2017年10月13日、Monsanto買収を進めるため、特定の Crop Science事業をBASFに59億ユーロで売却すると発表した。
売却事業の2016年の売上高は約13億ユーロ。Monsantoの買収の完了を条件とする。

売却する事業は次の通り。

1) 非選択性のアミノ酸系除草剤グルホシネートアンモニウム塩(製品名:Liberty®、Basta® 、Finale® ) 対象地域は全世界。

2) 下記の種子事業

北米でのハイブリッド キャノーラ油 InVigor®(LibertyLink® 技術使用:除草剤Liberty に耐性を持つ)
欧州での菜種(oilseed rape)
欧州、米大陸での棉(インドと南アは対象外)
米大陸での大豆
関連知財、設備、育種技術
LibertyLink® 形質 及び trademark
従業員1,800 人超 (主として、米国、ドイツ、ブラジル、カナダ、ベルギー。BASFは最低3年の雇用継続を約束)

2017/10/16 Bayer、Monsanto買収の独禁法対策で、BASFに一部事業を売却 

EUは前年8月には2018年1月8日までに買収を承認するかどうか判断するとしたが、これを3月12日に延ばし、更に4月5日に延ばした。

Bayerは承認を確実にするため、Nunhems®ブランドで世界的に販売されている野菜種子事業の売却について、BASFと最終的な合意に向けた独占的協議をしていることを3月7日に明らかにした。

今回の中国の条件は上記の売却でほぼ達成できる。Bayerはデジタル農業についての条件を受け入れた。

なお、ブラジルは2018年2月7日、買収を承認した。(2017年10月発表の特定の Crop Science事業のBASFへの売却を条件)

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