日揮は3月19日、同社とイタリアのTecnimont のJVがフィリピンの JG Summit Petrochemical から石油化学プラント建設プロジェクトを受注したと発表した。
首都マニラの南120kmのBatangasにあるJG Summit Petrochemical のコンプレックスに年産25万トンのHDPE設備を新設するとともに、既存のPPプラントを現在の19万トンから30万トンに拡大する。
同社は現在、HD/LLスイングプラント2系列計32万トンを持っており、今回の計画が完成すると、PE能力は総計57万トンとなる。
JVはTecnimont Philippinesが65%、日揮子会社のJGC PHILIPPINESが35%出資する。
契約内容は建設に係るEPC (設計、機材調達、建設工事)役務で、契約金額は180百万ドル(日揮分 63百万ドル=約70億円)。納期は2020年中頃。
JG Summit Petrochemical は同じBatangasに姉妹会社でオレフィンを生産するJG Summit Olefinsを持つ。
JG Summit Olefinsは年産32万トンのエチレンとプロピレン、mixed-C4、分解ガソリンを生産しているが、2021年までに3期に分けて、エチレン増強、ブタジエンプラント新設、BTXプラント新設を行うことを計画している。(フィリピン通商産業省の発表)
同社グループの各製品の能力の推移は下記の通りとなる。(千トン)
メーカー 製品 当初 2014/11 今回計画 JG Summit Olefins エチレン ー
320 ③ 480 プロピレン 190 241 mix-C4 110 136 分解ガソリン 216 295 ブタジエン ー ① 70 ラフィネート ー 89 ベンゼン ー ② 126 トルエン ー 76 キシレン ー 46 JG Summit Petrochemical PE(HD/LL) 175→200 320 320 PE(HD) ー ー 250 PP 180 190 300
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JG Summit Holdingsはフィリッピンのコングロマリットで、下記の7つのコア事業を行う。
消費財、食品:Universal Robina Corporation
不動産、ホテル:Robinsons Land Corporation、United Industrial Corporation (Singapore)
航空:Cebu Pacific Air
石油化学:JG Summit Petrochemicals、JG Summit Olefins
金融:Robinsons Bank
テレコム:Philippine Long Distance Telephone Company
電力:Manila Electric Company
JG Summit Petrochemicalは1998年4月に JG Summit Holdings 80%、丸紅20%のJVとして設立された。
BatangasにいずれもUNIPOL™ 法で PE(HDPE/LLDPE) 175千トン、PP 180千トンプラントを建設した。
丸紅はその後、出資比率を17.72%としたが、2007年に撤退し、JG Summit Holdingsの100%子会社となった。
JG Summit Olefinsは2008年に設立され、2014年11月に商業生産を開始した。同国最初のナフサクラッカーとして、6年間(2014年1月から)の免税など、税務上その他の恩典を受ける。
JG Summit Olefinsの完成に合わせ、JG Summit Petrochemicalは PEを1系列増強し年産32万トンに、PP能力は1万トン増強し、年産 19万トンにした。
2015/7/17 フィリッピンの石油化学の現状
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