中国の青島双星(Qingdao Doublestar )は3月5日、親会社のDoublestar Groupが経営難の韓国第二のタイヤメーカー 錦湖(Kumho)タイヤの株式の45%を6463億ウォン(約6億米ドル)で買収する契約にサインしたことを明らかにした。
韓国産業銀行(Korea Development Bank)を筆頭とするKumho Tire の債権団は2017年1月、保有するKumho 株(42%) を譲渡する優先交渉権を双星に付与した。譲渡額は9550億ウォンだった 。
だが、双星がKumhoの経営悪化を理由に買収価格を約16% 引き下げるよう提案するなどしたため、9月に交渉が決裂した。
しかし、これに代わる買い手が見つからなかった模様で、産業銀行は2018年3月2日、下記のKumho Tire の経営再建案を発表した。
Kumho Tire が実施する総額6463億ウォン規模の第三者割当増資を双星が引き受けるというもの。
この双星の株式取得額は、双星が昨秋要求した金額より低い。韓国国内に買い手が見つからなかったためとみられる。
中韓両国の外交関係が改善に向かっていることも影響した可能性がある。
再建案は双星に従業員の3年間の雇用保証と、最大2000億ウォンの設備投資などを求めた。
双星はこの案を呑んだとみられる。この結果、双星が45%を握る筆頭株主となり、産業銀行を中心とする債権団の持ち株比率は42%から23%に下がる。
韓国では、Hankook Tire(韓国タイヤ)が国内シェア46%で1位で、Kumho Tireは36%で2位で、その他メーカーが18%となっている。
青島双星は中国の国有企業Doublestar Groupが1996年に設立した。従来は靴や衣服の製造販売を手がけていたが、2002年からタイヤの生産や販売を開始した。
青島に生産拠点を有しており、乗用車用タイヤやトラック用タイヤ、農業機械用タイヤの生産を行っている。「DoubleStar」のブランドで世界で展開している。
2015年の売上高でKumho Tireは14位の26億6300万ドル、Qingdao Doublestarは34位で7億4080万ドルで、両社の売上高を合わせると、10位のZhongce Rubber Group(中策ゴム)の33億9530万ドルを抜き、中国メーカーとしてはトップとなる。
付記
Kumho Tireの労使は3月30日夜、中国同業の青島双星による買収計画を受け入れることを決めた。
Kumhoの銀行債権団は、30日までに労使が受け入れない場合、計画を白紙化する意向だった。労組は最後まで抵抗したが、韓国政府から合意を強く促され、土壇場で受け入れを決めた。
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Kumho Tireは1960年に、光州タクシーを基盤に、三養(サムヤン)タイヤ工業として設立され た。
1963年に小型乗用車用タイヤを生産開始した。米国 Uniroyal と技術提携した。
1970年には関連会社として韓国合成ゴムを設立した。これは後に錦湖石油化学となった。
三養タイヤは1984年にクムホ産業と合併し、クムホとし、1996年にはクムホタイヤとなったが、1999年にクムホ建設を傘下に入れ、クムホ産業となった。
2003年にタイヤ部門がスピンオフし、Kumho Tireとなった。
その間、クムホグループは1988年にアシアナ航空を設立している。
また、2006年には大宇建設を買収した。
大宇建設は1963年の設立後、現代建設と双璧を成す韓国のゼネコンとして成長した。
その後、1990年代のアジア通貨危機を経て大宇財閥が解体される中で、銀行管理下に置かれ た。
しかし、2000年代初頭に韓国内外のプロジェクトの安値受注を行うことにより、単体としての企業業績を急上昇させ注目を浴びた。
大宇建設はその後経営が悪化し、2009年に売却することとなったが、この売却交渉が決裂、大宇建設は2009年12月30日、事業再生法によるワークアウトを申請し、経営破たんした。
クムホ・アシアナグループから離脱し、韓国産業銀行の管理下に置かれた。
クムホ産業は大宇建設の4兆ウォンの債務保証をしており、クムホタイヤは賃金支給を翌月に先送りするほどの状態で、大宇建設と同日の12月30日、いずれもワークアウトを申請した。
債権団4分の3以上の賛成で、2社のワークアウトは進行され、経営権は債権団に移った。
錦湖石油化学、アシアナ航空は自立協約(日本における会社分割制度)を利用し、クムホグループから外れた。
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