新潟水俣病、2審も原告敗訴

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新潟水俣病の症状を訴える男女2人が精神的、肉体的苦痛を受けたとして国と新潟県、原因企業の昭和電工に1人当たり1200万円の損害賠償などを求めた第3次訴訟の控訴審判決が3月23日、東京高裁であった。

斉木敏文裁判長は「2人は汚染された魚を多く食べていたとは認められない」とし、2人が訴えている症状は他の病気が原因の可能性があると判断し、請求を棄却した1審新潟地裁判決を支持し、2人の控訴を退けた。

阿賀野市の原告男性の症状は「水俣病の主な症状に合致するとは言えない」と指摘。新潟市の原告女性についても「阿賀野川の汚染状況が相当改善した後に出生している」などとした。

新潟水俣病を巡る行政の責任の有無については、これまでの新潟地裁判決(2次訴訟第1陣、3次訴訟)で認められたことはない。
今回の裁判でも国と県の責任を問うているが、高裁判決は「水俣病であるとは認められないから、判断するまでもない」とした。

付記

最高裁第3小法廷は2019年3月5日付で原告側の上告を棄却する決定を出した。2人を水俣病と認めなかった1、2審の原告敗訴判決が確定した。

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水俣病と診断されながら国の基準では認定されなかった新潟市などの男女11人が国と新潟県、原因企業の昭和電工に1人当たり1200万円の損害賠償などを求めた新潟水俣病3次訴訟 判決が2015年3月23日に出た。

1) 原告7人を患者と認定し、昭電に1人330万〜440万円(総額2420万円)の支払いを命じた。

同居家族に認定患者がいることを重視する見解を示し、7人を患者認定した。
3人については感覚障害を認めたが、同居家族に認定患者がいないなどとして請求を退けた。
故人1人は係争中に水俣病と認定され、昭電への訴えは取り下げていた。

2) 国と県の賠償責任については、工場排水を規制しなかったことが違法とはいえないとして認めなかった。

2015/3/26 新潟水俣病 3次訴訟判決

国と県の責任を認めなかったこともあり、10人全員が控訴した。今回はこの控訴審の判決である。



別途、新潟市から法律に基づく水俣病の患者認定申請を棄却された市内の9人(うち8人は上の裁判の原告)が市に処分の取り消しと患者認定を求めていた。

2016年5月に新潟地裁の判決で、原告7人を水俣病と認定するよう市に命じた。2人については請求を退けた。

この控訴裁の判決が2017年11月29日に東京高裁であり、1審の新潟地裁が認めなかった2人についても水俣病と認めるよう市に命じる判決を言い渡した。

2017/11/30 東京高裁、新潟水俣病で提訴の9人全員の認定命じる判決

この結果、損害賠償裁判で控訴していた8人は全員が水俣病と認定されたため、控訴を取り下げ、1審で敗訴し、行政訴訟に加わっていない2人だけが残った。

今回、この2人の控訴が却下されたもの。

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