武田薬品、欧州製薬会社 Shire への買収提案を発表

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武田薬品工業は4月20日、アイルランドの製薬大手Shire plc への買収提案を発表した。Shire も4月19日付で発表した。

武田は3月28日、アイルランドに本拠を置くバイオ医薬品メーカーのShire plc に対する買収提案を検討していることを明らかにした。

2018年4月2日  武田薬品、バイオ医薬品メーカー Shire plc に買収提案を検討 

Shireによると、武田は3回にわたり提案した。

1回目は3月29日で、1株当たり44ポンド(武田株式28ポンド+現金16ポンド)、合計約410億ポンド(574億ドル)  

Shireの取締役会は、企業価値、成長性、製品パイプラインを過少評価していると考え、拒否した。武田は2回目、3回目の提案を行った。

2回目は4月11日で、1株当たり45.50ポンド(武田株式28.75ポンド+現金16.75ポンド)、合計約430億ポンド(602億ドル)  
3回目は4月13日で、1株当たり46.50ポンド(武田株式28.75ポンド+現金17.75ポンド)、合計約440億ポンド(616億ドル)  
 3回目の提案は、Shire 株の4月18日終値(37.54ポンド)を24%上回る水準になる。

Shireの取締役会は、3回目の提案についても、同様の考え方で拒否したが、話し合いを続けることを決めた。

これを受け、武田は同日、新たな4回目の提案を行った。

今回の提案は、1株当たり47.00ポンド(武田株式26.00ポンド+現金21.00ポンド)、合計約445億ポンド(623億ドル)
2018年3月23日(武田による買収提案可能性の検討についての憶測がなされた日の直前の日)の終値に比してのプレミアムは約58パーセント。

Shireは武田から4回目の提案を受けたことを発表、検討しているとした。今回提案でShire株主は増資後の武田の株式の49%を所有することになるとしている。

武田では、Shire社の買収は、武田の現在の成長に向けた機運を一層強化するとともに、真の研究開発型グローバルバイオ医薬品企業のリーディングカンパニーとなるための変革を加速し、バランスのとれた国内外の拠点の確保、強固かつ多様性のあるパイプライン及び財務の強化をもたらすものとしている。

なお、4回目の提案では、日本円で、武田の新株で3.7兆円、現金で3兆円、合計6.7兆円となる。
現在の武田株式の時価総額は約4.5兆円であり、時価総額の8割以上の増資が必要となる。
更に多額の借り入れが必要である。三井住友銀行など3メガバンクは、各行1兆円程度のつなぎ融資の検討に入ったとされる。

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なお、アイルランドに本社を置くAllergan plc も4月19日、Shireの買収を検討していると表明した。
同社は、事業売却、事業統合、買収など、株主価値を高めるための幅広い戦略的行動を検討しており、Shireの買収についても検討の初期段階にあるとした。

しかし、その発表の数時間後に、同社は買収提案をする積りはないと発表した。

対抗買収の検討が伝わると市場では株価が急落したため、株主の理解を得るのが難しいと判断したとみられる。

Allerganについて:


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