世界銀行は4月21日、途上国支援を強化するため130億ドルを増資すると発表した。
今回、国際復興開発銀行(IBRD)の75億ドル、国際金融公社 (IFC) の55億ドル、合計130億ドルの増資が承認された。日本の増資分は約11億ドルとなる。
世銀の増資は2010年以来8年ぶりである。
昨年秋に増資を計画したが、米国が、経済規模が大きな中国などにも融資が行われていることを理由に反対し、合意できなかった。
IBRDはGNI(1人当たり国民総所得)が6,895米ドル超の国を、卒業プロセスを開始する国としている。
2017年時点で、中国は8,260ドル。他に、ブラジル(8,840ドル)、チリ(13,530ドル)等々、これを超える国が多く、現在、これらの国への貸し出しは4割となっている。
世銀にとっては、返済が滞るリスクがなく、安定した運用先である。米国にとっては、中国への融資が批判のターゲットである。
今回、途上国の中でも特に最貧国に資金を優先的に割り当て、中国を含め、卒業プロセスを開始する国への支援は、2030年までに貸し出しの3割に下げ、かつ、伝染病の拡大防止といった国境を越えて問題が広がるおそれがある場合などに限ることにした。また、融資の際の金利を上げるなど新たなルールを設けた結果、アメリカも賛成に回った。
出資比率に応じた投票権の割合は、次の通りとなる。中国はIBRDの投票権の割合は4.45%から5.71%に増え、米国と日本は若干下がる。
中国はIBRDの投票権は3位だが、IFCについては、仏、英、印、露、伊、加についで9位である。
IBRD IFC 現状 増資後 現状 増資後 米国 15.98% ① 15.87% 20.99% ① 16.39% 日本 6.89% ② 6.83% 6.01% ② 6.81% 中国 4.45% ③ 5.71% 2.30% ⑨ 2.82% 中国は2010年の増資で、IBRDの投票権が独、英、仏を上回り3位に浮上した。
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