ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長とサウジアラビアのMohammed Bin Salman 皇太子は、滞在先の米ニューヨークで3月27日夜に記者団と会見し、世界最大となる計200ギガワットの太陽光発電事業をサウジで始める 覚書に調印したことを明らかにした。太陽光パネルの工場も同国内に設けるといい、2030年までの総事業費は計2千億ドル(約21兆円)規模となる。
ソフトバンクがサウジ政府系ファンドなどと設立した10兆円規模のファンドSoftBank Vision Fund が資金を拠出、まず約50億ドルを投じ、2019年までに2つの太陽光発電所(計7.2GW)をつくるという。
パネルなどの発電設備の生産は、順次サウジ国内での生産に切り替える。
付記 2018/10/1
サウジアラビア政府は、ソフトバンクグループと計画していた投資総額2000億ドルに上る世界最大の太陽光発電事業を棚上げした。政府当局者が明らかにした。
サウジ政府当局者や政府アドバイザーによれば、現時点では誰もこの事業に積極的に取り組んでいない。サウジ政府は、より大規模で現実的な再生可能エネルギー計画を10月下旬に発表する予定だという。
付記ソフトバンクグループは10月2日、サウジ政府による計画棚上げ報道を否定、「進捗状況は想定通り」とのコメントを出した。
継続の背景にはユーラシア、アフリカ大陸を送電網でつなごうという孫正義会長兼社長の構想がある。
サウジではクリーンエネルギー計画はあったが、実際には2017年10月にジャウフ州 Sakakaでの300メガワットの工場建設のビッドを始めただけ。
2018年1月に締め切ったが、1番札のUAEのMasdarとフランスEDFのコンソーシアムは除外され、2番札のサウジのACWA Power と3番札の丸紅と他2社のコンソーシアムが残ったが、2月6日にACWAに決まった。
政府はこの計画に3億200万ドルを助成する。
今回の計画は200ギガワット(1ギガワットは1,000メガワット)で、計画されている最大のものの100倍、昨年の世界の供給量の2倍以上になる。
Bloomberg New Energy Financeによると、太陽光発電の世界の累積導入量は、2007年にはわずか9GWだったが、2017年末には400GWに拡大し、ついに太陽光発電が原子力発電(392GW)を追い抜いた。
計画ベースのものは下記の通り。
国 計画 能力 状況 サウジ SoftBank計画 200GW MOU 豪州 Solar Choice Bulli Creek 計画 2GW 発表 ギリシャ Helios計画 Phase 1 2GW 認可 米国 Capital Dynamics Nevada計画 1.3GW 建設中 UAE 丸紅, JinkoSolar, ADWEA Sweihan 計画* 1.18GW 建設中 中国 EverRich Energy Wuwei 計画 1GW 発表
* 丸紅 20%、JinkoSolar 30%、Abu Dhabi Water and Electricity Authority 50%
全てが完成すると、サウジの全発電量(2016年で77GW、2/3が天然ガス発電、残りは石油発電)の3倍となる。
孫正義会長兼社長によると、計画はパネルや設備の製造から発電までをカバーし、10万人の雇用を生み、電力コストを400億ドル節約する。同国のGDPも120億ドル増える効果があるという。
サウジは脱石油依存を進めており、Mohammed Bin Salman皇太子は「人類史にとって大きな一歩だ」と述べた。孫氏は「サウジには強い日光、広大な土地、優れたエンジニアと労働力、将来のビジョンのすべてがある」と語った。
サウジは同時に、今後25年で800億ドル以上を投じて、少なくとも16基の原子力発電所を建設する計画を持つ。
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