ソフトバンク、カナダのリチウム事業に参加 

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ソフトバンクグループは4月6日、カナダでリチウムの採掘および精錬を行うNemaska Lithium Inc.(本社 ケベック州)の全発行済株式の最大9.9%を出資する契約を締結したと発表した。

Nemaskaは、リチア輝石の採掘から高純度の水酸化リチウムと炭酸リチウム製品化まで垂直統合した事業を行う企業で、製品化されたリチウム塩は主に、世界的なEVと蓄電池の需要増加により急成長するリチウムイオンバッテリー市場へ提供される。

Nemaskaは、量、グレードともに世界で最も豊富なリチウム原石であるリチア輝石の可採掘埋蔵量を有するカナダ・ケベック州のWhabouchiで事業を開始する予定。

Whabouchi 鉱山で集中的に採掘されるリチア輝石は、Nemaskaが特許技術を有する独自の膜電解処理を行うケベック州のShawinganの施設で精錬される。

採鉱から選鉱、精錬による製品化工程を経た高純度の水酸化リチウムおよび炭酸リチウムの商業生産開始を、2020年後半に予定している。


Whabouchi の可採掘埋蔵量は約33年、精錬プロセスを経てShawinganで製造される年間リチウム生産量は3.3万トン以上と見込まれている。

ソフトバンクグループが Nemaskaの発行済み株式を少なくとも5%以上保有する限り、毎年の年間生産量のうち、最大20%を長期間にわたり購入する権利を有することになる。

ソフトバンクグループの本取引は、情報通信事業におけるスマートフォンの継続的な需要増加や、今後見込まれる電気自動車時代のモビリティー革命到来に向けて、リチウム資源の開発を通じてバッテリー市場の成長に貢献することを目的としている。

孫 正義 会長兼社長は、「Nemaskaへの出資は、当社グループの戦略上、極めて重要な一手です。テクノロジーとエネルギーの融合により、IoTやEV時代のモビリティー革命をさらに推し進めていけることを大変うれしく思います」と述べた。


付記

Nemaska Lithium Inc.は2019年12月23日、ケベック州高等裁判所に日本の会社更生法に相当する企業債権者調整法(Companies' Creditors Arrangement Act :CCAA)の適用を申請すると発表した。

ネマスカも2019年に入り資金繰りが急速に悪化。ケベック州内で進めていた採掘・製錬場の新規開発案件などが暗礁に乗り上げていた。CCAAの申請により、債権者保護を取り付けた上で追加資金の調達を進め、事業再建を目指す。資産売却や合弁化の可能性も検討するとしている。

リチウム価格は2015年冬から17年冬にかけて上昇。相場の指標となる炭酸リチウムの中国国内の価格は2018年4~5月時点で1トン14万8500元前後と高値圏で推移していた時に、ソフトバンクGは出資を決めた。

だが足元の価格は5万1000元前後と、直近のピークである17年11月の17万1000元前後から70%安く、15年10月以来の低水準に沈む。ネマスカは19年に入り資金繰りが急速に悪化した。

各地で開発計画が相次ぎ立ち上がり、2018年の世界生産量は8万4700トンと24%増えた。消費は20%増の4万7600トンにとどまり供給過剰。


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