米Qualcommによるオランダの NXP Semiconductors 買収を巡り、中国商務部は承認にはさらなる是正が必要だと指摘した。
商務部報道官は、QaulcommのNXP買収が実現した場合、テクノロジー業界への影響が大きく、同市場に悪影響の恐れがあると説明した。
「中国当局は市場への悪影響を減らす方策についてQaulcommと協議し、同社が提出した是正計画を基に市場テストを実施した。Qaulcommの計画では関連の問題を解決することがほとんどできないことを当初の調査は示している」と説明した。
Qaulcommが商務部の承認申請を今週取り下げたとした上で、申請を再提出する計画だとし、「調査と証拠集め、分析に多くの時間」が必要なため、早期の判断に至る公算は小さいと話した。
Qaulcommは2016年10月にNXPを総額470億ドルで買収すると公表し、各国の独禁法当局から審査を受けてきた。EUのほか韓国も承認しており、残りは中国当局の審査のみとなっている。
EUは2018年1月18日、買収を承認した。
QaulcommはEUからの承認を得るため、NXPが持つ近距離無線通信規格「NFC」の特許について、競合メーカーや顧客が不利にならないよう取り扱うことで合意した。
NFCに関わる一部の特許を取得しないほか、他メーカーの半導体システムとの互換性を保ち続けるという。
中国の状況を勘案し、両社は、当初4月25日としていた買収期限を7月25日へと3カ月延長した。
付記
ニューヨーク時間7月26日午前0時が中国当局の承認を得る期限とされていたが、承認が得られず、買収を断念する。
7月25日の決算発表資料によると、破談の場合、Qualcomm はNXPに違約金20億ドルを支払うとともに、300億ドル相当の自社株買いを行う。
これに対し、中国の国家市場監督管理総局は7月27日に声明を発表、「Qualcomm提示の対策では問題を解決できないと伝え、対策見直しのため審査期限を10月14日に延ばしたのに、期限前に断念したのは遺憾である」としている。買収断念を当局の責任とする批判をかわす狙いとみられる。
トランプ米大統領と習近平中国・国家主席は12月1日、G20出席のため訪問中のBuenos Airesで夕食会形式で首脳会談を開き、米国が中国への追加関税を猶予することを決めた。
習主席は、以前に承認しなかった米Qualcommによるオランダの NXP Semiconductors 買収について、再申請されれば承認すると述べた。
しかし、Qaulcommは再申請しないとした。「Qualcommが過去に提案したNXP買収に関するトランプ大統領と習主席にコメントには感謝しているが、この取引は期限が過ぎたことで打ち切られた。Qualcommとしてはこの件は終わったものと考えており、5Gロードマップの実行を続けることに完全に集中している」としている。
東芝メモリの売却についても中国の承認だけが取れていない。
元々、簡単には承認は下りないと見られていた。 中国は半導体を基幹産業に育てようとしており、韓国のSK Hynixが参加する東芝メモリの買収を簡単に認めないと思われた。
ここにきて、米中の貿易摩擦で、米側が中国の華為技術(Huawei Technologies)と中興通訊(ZTE Corp.)に厳しい態度をとるなど、圧力を強めている。
米国のBain Capitalが主導する東芝メモリ買収には、厳しい条件がつくか、承認に時間がかかるとの見方が強い。
東芝は、中国当局の承認を5月末までに得られなかった場合、 東芝メモリの売却を見送る方向との報道がされた。昨年12月に実施した6000億円の増資などで債務超過を解消して いる。
しかし東芝は4月23日、これを否定し、引き続き譲渡完了を目指しているとした。
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トランプ米大統領は3月12日、シンガポールに本社を置く通信用半導体大手Broadcom Limitedによる米Qualcomm Incorporatedの買収を禁じる命令を出した。
半導体業界のアナリストは「Broadcomと華為技術の企業としての近さも警戒された」と指摘する。
2018/3/14 米大統領、BroadcomによるQualcomm買収禁止命令
Qualcommは米国の政治力でBroadcom による買収から逃れたが、今度は中国政府により、悲願としたNXP買収を認めてもらえない状況となった。米中の通商摩擦に完全に巻き込まれた形となっている。
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Qualcommは2016年10月27日、NXP Semiconductorsを買収することで合意したと発表した。
NXPの発行済み株式を1株当たり110米ドル(11.5%のプレミアムを上乗せ)で買い付ける。買収額は約470億米ドルで、Qualcommは全て現金で支払う。
負債を除くと約390億米ドルとなり、旧Avago TechnologiesによるBroadcomの買収額である370億米ドルを越え、半導体ICメーカーの買収金額としては過去最高となる。
2016年2月に、Hewlett-PackardやAgilent Technologiesの半導体部門を起源とするAvago TechnologiesがBroadcomを370億ドル(現金170億ドルとAvago株式200億ドル)で買収し、Avago Technologiesは社名をBroadcom Ltd.に改称した。現在のBroadcomは、当初のBroadcomを含めた元のAvago Technologiesである。
なお、NXP株の約28%を保有するアクティビスト(物言う投資家)のElliott Managementなどが1株110ドルについて「著しい過小評価だ」と主張していたが、Qaulcommは2018年2月に買収額を16%引き上げ、1株127.50ドルとした。
Qualcommの売上高は250億ドル、NXPは100億ドルで、統合で350億ドルの売上高となる。
スマホ用のプロセッサを主力事業とするQualcommにとって、自動車分野参入は悲願で、車載用や認証端末用等の半導体が主力のNXPを手に入れ、モバイル、自動車、IoT、Networkingの4つの領域でリーダーとなる。
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