小野薬品工業と ブリストル・マイヤーズスクイブ、がん免疫療法薬2剤の併用療法の承認取得

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小野薬品工業とブリストル・マイヤーズスクイブは5月25日、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体「オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)」およびヒト型抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体「ヤーボイ®(一般名:イピリムマブ)」について、根治切除不能な悪性黒色腫に対する両剤の併用療法に係る国内製造販売承認承認 を取得したと発表した。

今回の承認は、国内で初めてのがん免疫療法薬2剤の併用療法の承認となる。
両社は腎細胞癌についても併用療法の承認申請を行っている。

ブリストル・マイヤーズスクイブ は4月18日、FDAにより両剤併用療法が、未治療の中及び高リスクの進行腎細胞癌治療薬として承認されたと発表した。癌免疫治療法薬の併用療法としては米国で初の承認となる。

悪性黒色腫(メラノーマ)は皮膚の色と関係が深いメラニン色素の産生能を持つ色素細胞(メラノサイト)ががん化した悪性腫瘍で、皮膚がんの中でも転移率が高く、きわめて悪性度が高いとされてい る。

オプジーボおよびヤーボイは、国内においてすでにそれぞれの単剤投与について「根治切除不能な悪性黒色腫」を対象として承認を取得している。今回の承認によって、併用療法が可能とな った。

働きの異なる2剤を併用することで治療効果が上がるといい、患者の選択肢が増える。

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癌免疫薬は免疫チェックポイント阻害薬とよばれる。
(他に、自分のリンパ球を取り出し培養したうえで、活性化したリンパ球だけ、特にナチュラル・キラー細胞を戻すNK細胞投与がある。)

癌細胞には、免疫細胞攻撃を防止する「免疫チェックポイント」という仕組みがある。

1) 癌細胞は、免疫細胞からの攻撃を逃れるために、PD-L1 というタンパク質を出し、これが免疫細胞のPD-1 に結合すると、免疫細胞の働きが抑制される。

2) 免疫細胞は、抗原提示細胞である樹状細胞から癌抗原の提示を受けると働きが活発になり、それを目印に癌細胞を攻撃するが、抗原提示を受ける際、免疫細胞のCTLA-4 に樹状細胞のB7というタンパク質が結合すると、逆に免疫細胞の働きが抑制され、癌細胞を攻撃できなくなる。


これらの「免疫チェックポイント」を阻害して、免疫細胞に癌細胞を攻撃させるのが、免疫チェックポイント阻害薬である。

現在、日本で承認済みと開発中のものは下記の通り。小野薬品とブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS) は提携している。

機能 承認 開発中
抗PD-1抗体 免疫細胞のPD-1に結合し、PD-1と癌細胞のPD-L1の結合を防止 オプジーボ(小野薬品/BMS)
キイトルーダ(米Merck)
抗PD-L1抗体 癌細胞のPD-L1に結合し、PD-1とPD-L1の結合を防止 バベンチオ(独Merck/Pfyzer
テセントリク(
Roche/中外製薬)
デュルバルマブ(AstraZeneca)
抗CTLA-4抗体 免疫細胞のCTLA-4に結合し、CTLA-4と樹状細胞のB7の結合を防止 ヤーボイ(BMS/小野薬品)


承認取得は次の通り。

オプジーボ ヤーボイ オプジーボ/
ヤーボイ併用
キイトルーダ バベンチオ テセントリク
悪性黒色腫 2014/7 2015/7 2018/5 2016/9
非小細胞肺癌 2015/2 2016/12 2018/1(二次治療)
腎細胞癌 2016/8
ホジキンリンパ腫 2016/12 2017/11
頭頚部癌 2017/3
胃癌 2017/9 2017/12
尿路上皮癌
メルケル細胞癌 2017/9

http://answers.ten-navi.com/pharmanews/7342/


なお、エーザイと米 Merck は3月8日、エーザイ創製の抗がん剤、経口チロシンキナーゼ阻害剤「レンビマ」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)を全世界で共同開発・共同販促する戦略的提携について合意したと発表した。

両社は、「レンビマ」の単剤療法、ならびにMerck の抗PD-1抗体「キイトルーダ®」(一般名:ペムブロリズマブ)との併用療法における、共同開発と共同販促を行う。

2018/3/13 エーザイと米 Merck 、エーザイの抗がん剤「レンビマ®」のがん領域における戦略的提携に合意

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