COTESAはドイツ・ザクセン州に本社があり、宇宙航空と自動車の分野で質の高い炭素繊維複合材料部品を供給しており、顧客にはエアバスやボーイングが名前を連ねる。
安泰科技は中国国有の中国鋼研科技集団(China Iron & Steel Research Institute Group:CISRI) の子会社で、新金属材料を主要業務と位置づけ、金属磁性材料、粉末冶金、溶接材料、ダイヤモンド工具、高速工具鋼、先端エネルギー材料という6つの分野で活動している。
手続き上は、中国の明徳投資(Interity Capital Partners)と QFAT Investmentが共同運営する新素材関連ファンドがCOTESAを買収するもので、買収後にはこのファンドに投資する安泰科技(AT&M)が中国市場での製造・販売に協力することとされた。買収額は1億~2億ユーロと報じられた。
狙いは、中国の国有航空機メーカーである中国商用飛機(COMAC)に COTESA製の部品を供給することとされた。
これに対し、2017年12月にMinistry of Economic Affairs and Energyが介入した。ドイツの法律に合致するかどうかを調査するとした。
ドイツ政府は2017年、ハイテク部門での中国企業のM&A拡大に対する懸念が高まる中、中国企業による独企業の買収を阻止する為の政府権限拡大に乗り出した。
背景には、2016年に同国最大の産業ロボットメーカーであるKUKAが、中国家電メーカーの美的集団に45億ユーロで買収されたことにある。
同年8月にはドイツ政府は「買収は安全保障に危険は及ぼさない」として不介入を表明、米政府も同年12月31日に認可した。
しかし、ドイツの先進技術がアジア企業に奪われることへの懸念が一気に高まり、それ以来、類似の取引に対する調査が大幅に厳格化された。
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半導体製造装置メーカーのドイツのAixtron は 2016年5月23日、中国の福建芯片投資基金 (FGC)が同社を買収することで合意したと発表した。
Aixtron は1983年創業で、ドイツのヘルツォーゲンラートに本社を置く。買収手続き完了後も、ヘルツォーゲンラートの本社と技術拠点、および英国のケンブリッジと米国カリフォルニア州 Sunnyvale にある技術拠点を維持する。
これに関し、オバマ米大統領は12月2日、Aixtron のカリフォルニア州の子会社 Aixtron Inc の買収を禁止すると発表した。軍事利用が可能な技術が対象に含まれ、米国の安全保障の脅威になると判断した。米財務省は、今回の買収に関し「中国政府が資金調達で支援している」と指摘した。
対米外国投資委員会(CFIUS)がAixtron の技術が軍事用途に使われる可能性があると判断しており、米子会社買収が「緩和措置を講じても解決できない安全保障上のリスクをもたらす」と強調した。ドイツ政府は9月8日に買収を承認しているが、10月21日にこの承認を取り消し、買収の審査手続きを再開すると発表した。
福建芯片投資基金は12月8日、独 Aixtron の買収取り止めを発表した。米子会社を除いた買収も検討したが、戦略拠点の米子会社が除外され、独政府の認可の行方も不透明なことから買収を断念した。
2016/12/7 米政府、中国企業による独社の米子会社買収を禁止
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ドイツの対外貿易に関する法律は、EU域外の企業がドイツ企業の株式の25%超を取得しようとする場合、それが公の秩序や国家の安全を脅かすものなら政府が阻止できるというものだった。
主に防衛部門の取引に適用されていた。
その後2017年7月の改正で、同法の適用範囲は先端防衛技術産業に加え、電力、水道、病院、交通等の基幹インフラに携わる企業にまで拡大された。
政府が買収を調査できる期間も、改正前の2ヵ月から最大4ヵ月に拡大された。
EUの欧州委員会は2017年、国家安全保障の観点から海外企業による投資について審査を厳格化する計画を打ち出し、ドイツはこれを支持している。
今回、審査が終わり、買収は承認された。中国人投資家によるコア技術をめぐる買収案件では、2017年7月の法律改正後で初めてのケースである。
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