主要企業の2018年3月決算 - チッソ

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チッソは2011年1月に「事業再編計画」に記載した100%子会社
JNC㈱ を設立し、事業を譲渡した。

2011/1/12 チッソ、「事業再編計画」に基づく、新会社を設立

親会社のチッソは当面、子会社JNCの株式配当益で補償業務を担い、3年後をめどに株式を他者に全面譲渡し、譲渡益を熊本県に納付して補償業務を委ね、清算するという構想である。

なお、特措法では、「救済の終了」と「市況の好転」をJNC売却の条件としている。

水俣病の公式確認から62年を迎えた5月1日の水俣病犠牲者慰霊式の後、チッソ社長が「水俣病の救済は終わっている」と述べて批判を受け、その後、取り消した。

2018/5/2 チッソ社長、「水俣病の救済は終わっている」 付記に「お詫びと撤回」


「救済の終了」には時間がかかるが、
「市況の好転」についても、主力の液晶の利益が激減しており、2011年3月期に248億円あった経常損益は48億円に減っている。

液晶については、元の利益に戻る可能性は少なく、JNCを購入しようという相手が出てくるかどうか疑問である。

2018年3月末の未処理損失は 1,421億円である。資本金は78億円で、純資産は−1,111億円となっている。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 特別損益 当期損益   配当
中間 期末
2016/3 1,718 129 138 -39 55 0 0
2017/3 1,540 61 75 -64 -14 0 0
2018/3 1,600 29 48 -40 -33 0 0
前年比 60 -32 -28 25 -19
2019/3予 1,680 55 0 0

経常損益

液晶を中心とする機能材料は、2015年3月期には182億円の利益を計上したが、その後、128億円、83億円となり、本年は26億円に激減した。

中国パネルメーカーの増産を受けて液晶ディスプレイパネルが供給過多の状況となってきており、顧客が稼働調整した影響から、液晶材料の販売 が減少した。
有機ELパネルが増えており、今後、液晶が元に戻る可能性は少ない。

15/3 16/3 17/3 18/3 増減 19/3予想
機能材料 182 128 83 26 -56
加工品 21 16 15 18 3
化学品 -11 17 -1 21 22
商業事業 4 3 3 3 0
電力 5 1 0 1 0
その他 2 1 2 2 -0
全社 -28 -28 -27 -23 4
合計 175 138 75 48 -28 55

機能材料 液晶関連材料、電子情報材料
加工品 ポリオレフィン複合繊維、被覆肥料、高度化製肥料
化学品 高級アルコール、可塑剤(三菱ガスとのJV シージーエステル)、溶剤、PP(三菱ケミカルとのJV 日本ポリプロ)、PE(丸善ポリマーとのJV 京葉ポリエチレン)、PP特殊コンパウンド
商業事業
電力 水力発電、太陽光発電
その他 化学工業設備の設計、施工等

液晶は水俣で製造する液晶単品を五井と台湾の台南工場でブレンドし、ディスプレイ・メーカーに供給している。


特別損益には下記を含む。(億円)

14/3 15/3 16/3 17/3 18/3
水俣病補償損失 -41 -38 -37 -35 -33
被害者救済一時金 -46 -2
環境対策費 -20
災害損失 -16 -7
減損損失 -1 -5 -38 -3
固定資産圧縮損 -25

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