ポルトガル電力公社、中国長江三峡による買収案拒否

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ポルトガル電力公社 EDP(Energias de Portugal SA )は5月15日、筆頭株主である中国国有企業、中国長江三峡集団(China Three Gorges Corp.)からの最大約91億ユーロの買収提案を拒否すると発表した。

提案された買収価格が企業価値を適切に評価していないとしている。 欧州の電力会社の買収で、支配権を得る場合に一般的なプレミアムから見て低すぎるとした。


三峡集団は2011年12月にEDPの株式の21.35%を2,690百万ユーロで買収した。

公的債務危機に対応するために、2011年5月にポルトガルはEUから780億ユーロの支援を受けており、ポルトガル政府とEUとIMFが確認した合意に基づいて、ポルトガル政府が政府が保有する電力、送電、航空関連企業の株式の売却を始めたが、本件はその最初で最大のものであった。

三峡集団が提示した取得価格は市場価格に53%のプレミアムを乗せた水準だった。三峡集団はEDPに対する資金支援を強化し、債務の返済や再生エネルギープロジェクトを支援することを約束した。

ドイツの独エネルギー大手E.ON やブラジル中央電力公社 Eletrobras を抑えて落札した。

EDPは米国、スペイン、ブラジルにも拠点を持っており、三峡集団はこの買収で国外展開を加速する。

EDPはブラジルでも有数の電力会社で、複数の水力発電所を運営し200万軒以上にエネルギーを供給している。

現在は23%を保有している。

同社は5月11日に、残りの77%について、同日の終値に5%弱を上乗せした1株当たり3.26ユーロでのTOBを提案した。出資比率を最低でも 50%以上に引き上げる計画だった。

三峡集団では、買収価格の3.26ユーロはEDPの株価の過去6カ月の平均より10%以上高いとしているが、アナリストは同様のケースではプレミアムは30%程度になっているとしている。買収価格の引き上げを期待して、EDPの株価は5月14日に3.50ユーロと提示額を上回る水準に上昇した。


ポルトガル政府は介入を否定しているが、拒否の背景には、基幹インフラの運営企業を国外企業に握られることへの懸念が働いたとの見方もある。


三峡集団は、三峡ダムの建設、揚子江開発のため、国務院の承認を得て2009年9月に設立された。230億ドルをかけた三峡ダムを運営している。

現在では世界でも最大の水力発電会社で、中国最大のクリーンエネルギー会社となっている。

三峡集団傘下の三峡新能源有限公司は3月28日、天津開発区管理委員会と洋上風力発電プロジェクトに関する投資協力合意書を締結したと発表した。

計画によると、発電施設は同開発区南港工業区の海上に建設し、総設備容量1000メガワット、年間発電量約24億キロワット時、年間事業収益約20億元となる見込み。発電能力は工業区の石油化学産業の巨大な電力需要を満たす。

三峡集団は2015年11月に、ブラジルのサンパウロ電力公社が運営していたジュピア水力発電所(設備容量155万キロワット)とイーリャ・ソルテイラ水力発電所(同344万キロワット)の30年間の運営権を138億レアル(約4530億円)で落札した。

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