中国、米・韓の半導体3社を独禁法違反の疑いで調査(中国の独禁法執行体制変更)

| コメント(0)


中国の独占禁止当局がサムスン電子、SKハイニックス、米 Micronのメモリー半導体3社による価格談合など独占禁止法違反の疑いで調査に着手した。

中国紙の「21世紀経済報道」などによると、国家市場監督管理総局傘下の反独占局の調査官らは5月31日、北京、上海、 深圳にある3社のオフィスを突然訪れ、検査を実施した。

反独占局は3社がDRAMの価格談合をはじめ、製品の供給不足を悪用した抱き合わせ販売など違法行為をしていないかどうかを調べたとされる。DRAM価格は2016年から上昇傾向が定着し、大口需要家である中国企業の告発があったもよう。世界市場で3社の合計シェアは9割超。

2017年5月から2018年1月までの9か月間のDRAMビット数の平均成長率(前年同月比)は13%であった一方、2017年1月から2018年1月までの月ごとのDRAMの1Gビット当たりの価格は上昇を続けており、その結果、2018年1月の価格は1年前に比べて47%増という値となっている。

中国でスマートフォンメーカー各社は、世界モバイル用メモリー半導体の50~60%を消費する。グローバルDRAM市場は、サムスン電子とSKハイニックスが75%を占めている。


「21世紀経済報道」は、3社が市場での支配力を乱用したと判断されれば、2016年以降に中国で販売した半導体の売上高を基準として、課徴金の規模が8億-80億米ドルになると指摘した。

今回の調査は半導体価格の上昇に対する中国のスマートフォン、パソコン業者の不満解消、自国の半導体産業育成という中国政府の意向を反映したものとみられる。
中国はハイテク分野で世界覇権をめざす産業政策を掲げている。

半導体などのハイテク分野は米中貿易摩擦の焦点の一つ。中国は米 Micronを含めた調査で米国側をけん制し、国有の通信機器大手、中興通訊(ZTE)への制裁緩和を引き出すなど今後の協議を有利に進めようとしているとの見方もされている。

ーーー

これまで中国の独禁法は下記の体制で実施されてきた。

反壟断委員会(国務院直属) 独占禁止政策の調査、市場動向のモニター、執行機関間の政策の調整
実務
機関
発展改革委員会価格調査局 価格独占行為の調査・処分
商務部反独占局 事業者結合行為
国家工商行政管理総局
(工商総局)
独占協定、市場支配的地位の濫用、行政権力を濫用した競争の排除・制限(価格独占を除く)

2018年3月、中国の「構造改革」の一環として、独禁法関連の 各機能と、品質検験権益総局(輸出入品質検査検疫を除く)、食品薬品監督管理総局の機能が新設の国家市場監督管理総局に移管された。国務院直属機構である。

国家工商行政管理総局、品質検験権益総局、食品薬品監督管理総局、反壟断委員会弁公室は廃止され、輸入品の品質管理は今後、中国税関部門が行うことになった。

国家市場監督管理総局の局長に、国家工商行政管理総局(工商総局)の局長だった張茅氏が就任した。

コメントする

月別 アーカイブ