EUの欧州委員会は5月28日、海洋生物保護のため使い捨てプラスチック製品の使用を禁止する法案をEU加盟国と欧州議会に提出した。
欧州委は今年1月、2030年までに使い捨てのプラスチック容器・包装を域内でゼロにする目標を掲げた「プラスチック戦略」を表明しており、今回の提案は実現に向けた具体策となる。
海中のごみの80%以上がプラスチックであるとし、欧州の海や海岸で見つかる使い捨てプラスチック製品と漁網や釣り具を対象とする新法案を提案した。これらは海のごみの70%を構成する。
プラスチックは分解が遅いため、海洋や海岸に溜まり、いろいろな海洋生物の体中で見つかる。プラスチックは便利で経済的だが、もっとうまく使い、再利用し、リサイクルする必要があるとしている。
使い捨てプラスチック製品をもっと付加価値の高い代替品に替えることは、経済にも貢献するとしている。
規制内容は次の通り。
・消費削減:プラスチック食品容器や飲み物コップの使用を削減
(削減目標の設定、代替品の供給、使い捨て品の無償供与の禁止等で)
・販売禁止:代替品がある場合、使い捨てプラスチックは販売禁止。(期日は決めていない。)
プラスチック製の綿棒、ナイフやフォーク、皿、ストロー、飲み物の攪拌棒、風船棒
・生産者の義務:以下の製品の生産者は廃棄物処理や清掃等のコストを一部負担、代替品の開発
食品容器、食品包装、飲み物容器とコップ、フィルター付きタバコ、ウエット手拭き、風船、軽量プラスチック袋
・回収目標:各国は2025年までに使い捨て飲料ボトルの90%を回収(デポジットの払い戻しなどにより)
・ラベル表示:下記の製品は、廃棄物処理方法や環境への悪影響、製品にプラスチックを含むことをラベルに表示
衛生タオル、ウエット手拭き、風船
・教育:使い捨てプラスチック製品、漁網や釣り具等のゴミの悪影響、再利用システムや廃棄物処理方法について消費者教育
法案可決には加盟28カ国が批准し、欧州議会で承認される必要がある。切り替えに伴うコスト増を巡って食品業界からの反発も予想され、産業界との調整も必要となる。欧州委のティメルマンス第1副委員長は28日の記者会見で、2019年5月の欧州議会選挙前に、提案実現へ具体的な進展を示すよう求めた。
EUはこの法案が施行されれば、340万トンの二酸化炭素(CO2)排出量の削減に加え、2030年までに220億ユーロ(約3兆2000億円)規模の環境破壊が阻止できるほか、消費者全体で65億ユーロのコスト削減につながるとしている。
欧州委員会のフランス・ティメルマンス第1副委員長は、「プラスチックごみは疑いようのない大問題で、欧州人は共にこの問題に立ち向かっていかなければならない」と話した。
Single-use plastic items | 消費削減 | 販売制限 | 製品デザイン | ラベル表示 | 生産者義務 | 他の回収方法 | 教育 |
Food containers | X | X | X | ||||
Cups for beverages | X | X | X | ||||
Cotton bud sticks 綿棒 | X | ||||||
Cutlery, plates, stirrers, straws | X | ||||||
Sticks for balloons | X | ||||||
Balloons | X | X | X | ||||
Packets & wrappers | X | X | |||||
Beverage containers, their caps & lids - Beverage bottles |
X | X | X | ||||
X | X | X | X | ||||
Tobacco product filters | X | X | |||||
Sanitary items:- Wet wipes | X | X | X | ||||
- Sanitary towels | X | X | |||||
Lightweight plastic carrier bags | X | X | |||||
Fishing gear 釣り具 | X | X |
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