米最高裁、トランプ政権の入国規制を支持 

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米連邦最高裁は6月26日、トランプ政権がテロ対策を目的に導入した中東・アフリカ圏からの入国規制を支持する判断を示した。

「イスラム教徒差別だ」として批判が出ていたが、最高裁判断は「政権は国家安全保障上の正当な措置であることを適切に説明した」として訴えを退けた。

ロバーツ最高裁長官は、この措置は「大統領権限の範囲内にあり、どの大統領であれ実施した可能性がある」と強調した。

トランプ大統領は twitter で「SUPREME COURT UPHOLDS TRUMP TRAVEL BAN. Wow!」と呟き、「今日の最高裁の判決は、アメリカ市民、そして憲法にとって途方もない成功であり、勝利だ」と述べた。

現在の入国規制は2017年9月に導入された改訂版で、イラン、リビア、ソマリア、シリア、イエメンからの入国を実質的に禁止している。また、北朝鮮とベネズエラも入国規制の対象となっている。

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これまでの経緯は次の通り。

Trump大統領は2017年1月27日、移民の入国を一時禁止する大統領令を出した。

・移民国籍法 217(a)(12) と連邦法1187(a)(12)で規定した国(イラン、イラク、シリア、イエメン、リビア、スーダン、ソマリアの7か国へのビザ発給を90日間停止
・シリア難民受け入れを無期限停止、他国の難民受け入れも120日間停止
・全体の難民受け入れを年5万人に半減

サンフランシスコの連邦控訴裁判所は2月9日、7カ国からの入国を一時禁止する大統領令について、3人の判事の全員一致で、即時停止を命じた連邦地裁の仮処分を支持する判断を示した。

このため、3月6日、大統領令の問題個所を修正し、新たな大統領令を出した。

2017/3/14 Trump大統領の新たな入国禁止命令 

米連邦最高裁判所は6月26日、10月以降 (のち、10月10日に決定)に同大統領令の合憲性を巡る審理の最終判断を行うとし、それまでの間、イスラム圏6カ国からの入国を制限する米大統領令を巡り、一部を執行することを認める判断を下した。

2017/6/28 Trump 大統領の米入国制限令、最高裁が一部容認

ハワイ州連邦地裁は7月13日トランプ政権が「近い親族」に祖父母やおじ・おば、甥、姪、いとこ、義理の兄弟姉妹を含めなかったことは、条件付きで施行を認めた最高裁の決定に反するとして、全米で親族の定義を広げて運用するよう命じた。また、難民については、難民の再定住を支援する団体から支援を保証されていれば入国を認めるべきとの判断を示した。

政府による控訴による裁判で、サンフランシスコの Ninth U.S. Circuit Court of Appealsは9月7日、ハワイ地裁の判断を支持した。

これについて最高裁大法廷は9月12日、難民入国制限を巡る件では、控訴裁判断の差し止めを求めた司法省の主張を認めたが、「近い親族」の範囲については認めなかった。

2017/9/11 トランプの入国制限令、また敗北

トランプ大統領が出したイスラム圏諸国からの入国禁止令については、これを問題とする裁判所の判決が続出しており、休会明けの10月10日に最高裁が口頭弁論をする予定であった。

しかし、大統領が9月24日に新しい大統領令を出したことから、最高裁が審議を取り止める事態となった。

入国制限の対象国は次の通り。

    2017/1/27 2017/3/6 2017/9/24 理由
イスラム イラン  
シリア  
リビア  
イエメン  
ソマリア  
チャド  
スーダン X

公共の安全と情報交換での米国政府との協力関係

イラク X

対IS共闘、ビザ申請者の情報提供など

北朝鮮

渡航者に関し一切の情報提供がない

ベネズエラ

政府がその国民が危険人物かどうかを通知するのに非協力

合計   7か国 6か国 8か国  

このうち、イスラム圏からの移民については、ハワイ州連邦地裁やメリーランド州連保地裁宗教による差別にあたるとして入国制限令を暫定的に差し止める命令を出した。

これを受け、米連邦最高裁判所は12月4日、訴訟継続中の入国禁止令の執行を認めた。

最高裁の判事9人のうち7人が禁止令の執行を差し止めた下級審命令を無効とした一方、2人は反対した。

最高裁は、控訴栽が「適切な早さで」結審するのを期待すると述べた。

Richmondの第4巡回控訴裁判所は2018年2月15日、9対4の評決で、Marylnd地裁の判断を支持、憲法のEstablishment Clause(国教条項)に違反すると判断した。

2018/2/20 米入国禁止令、控訴裁が違憲判断 「イスラム教徒差別」

米最高裁は2018年1月19日、2017年9月24日に発表された新しい入国禁止令の合憲性を審理するとの決定を出した。
大統領令が違法である可能性が高いとする下級審の判断に対し、政権が上訴していることを受け、口頭弁論を開くこととした。

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今回の最高裁の審議で、9人いる最高裁判事のうち保守派5人が規制を支持し、リベラル派4人が反対した。

2016年に保守派のScalia 判事が死去し、保守派4人(中道1人含む)、リベラル派4人と勢力が拮抗してが、米上院本会議が2017年4月7日に禁じ手の「核オプション」(nuclear option)を使い、トランプ大統領が指名した保守派のNeil Gorsuch 連邦控訴裁判事を54 対 45 の賛成多数で承認したのが効いた。

最高裁で保守色が強まり、銃規制や人工妊娠中絶やこの移民の入国禁止など、米世論を二分する問題を巡る司法判断に影響すると見られていた。

2017/4/8 米上院、異例の手続きで最高裁判事を承認 


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