Xerox、富士フイルムによる提訴に反論、提携解消も

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富士フイルムホールディングスは6月18日、同社による買収合意を破棄した米事務機器大手 Xeroxを相手取り、正当な理由なく当該契約を終了することは契約違反であるとして、10億ドル超の損害賠償などを求める訴訟を米 New York州南部連邦地方裁判所に起こした。

2018/6/21 富士フイルム、米Xerox を提訴


これに対し、Xeroxの副会長兼CEOのJohn Visentin(今回、株主代表として富士ゼロックスの取締役に就任)は6月25日付の富士フィルム古森重隆会長に宛てた書簡を公表した。内容は次の通り。

今回の提訴は、経営統合を頓挫させまいと捨て身で交渉に誘い出そうとしている誤った策略でしかない。
Xeroxは、富士フィルム側の明らかな重要な違反により、契約の終了規定に従って契約を終了させたもの。
悪いのは富士フィルムであり、Xeroxではない。
富士ゼロックスの75%株主の富士フィルムは、富士ゼロックスの大規模な経理不正(これは富士フィルムのひどい経営ミスによるもの)の実態をXeroxに隠してきた。
富士フィルムと富士ゼロックスによるJV契約違反である。
富士ゼロックスの売り上げの大きな部分は中国からだが、富士ゼロックスの他のテリトリーで経理不正が蔓延しているのに、中国では正式に経理不正の調査がされていない。
報道では、富士ゼロックスの経理報告についての内部監査はまだ効果を見せていない。
富士ゼロックスは米国企業に適用される法と規則を守れる体制にない。何年もかかるだろう。富士フィルムは合弁契約で決められたことをやれない。
新聞報道にある、Xeroxが富士フィルムに新しい統合提案をするだろうというのは幻想にすぎない。絶対にない。
富士フィルムの多くの義務違反などから、Xeroxとしては技術契約が2021年に期限が来た際に、更新する考えは今のところ無い。
XeroxがXeroxの商号を独占的に使って、今より優れたサプライチェーンで、成長するアジア太平洋地域に直接製品を販売すれば、物凄い成長機会があることを投資家に説明する。
そのために、現在、富士ゼロックス以外から製品を調達するよう動き出しており、今後ますます努力する。
先週、富士フィルムの役員が日経に、「ゼロックスは製品供給を富士ゼロックスに依存しており、世界の事務用機器市場が縮小している中で自分で生き延びるのは難しい」と述べたのは皮肉だ。
富士ゼロックスは富士フィルムの売上高の約半分を占めているが、最大の顧客であるXeroxからの10億ドル以上の収入がゼロになると悲惨なこととなる。
法的には富士フィルムはこれをどうしようもない。
Xeroxが富士ゼロックスから購入するのを止めた場合、裁判所は富士ゼロックスがXeroxに対し懲罰的行動をとるのを許す筈がない。


現在、Xeroxと富士ゼロックスの技術契約に基づき、富士ゼロックスはアジア太平洋で「Xerox」の商標を使って独占的に販売する権利を持つ。事務機器市場が縮小するなかで、アジア太平洋市場は成長が続いている。

この契約では営業地域などを決めており、5年ごとに更新する。次回は2021年の更新で、更新がなければ、2021年からはXeroxが「Xerox」の商標で独占的に販売できることになる。

Carl Icahn とDeasonは2月20日、Xeroxの株主に対し「競合他社との合併や身売り」や「買収ファンドへの身売り」を提案する書簡を公開した。

Xeroxが敵対的買収で株式の30%を売却する場合、アジア太平洋の360億ドルの市場でのXeroxの知的財産権と製造権を富士フィルムに渡すという企業買収防衛策としての重要資産の売却条項("crown jewel" lock-up right)があり、このため、他社への身売りは出来ないとされているが、これに対しては手があるとする。

一つは、富士ゼロックスの経理スキャンダルを理由に契約違反としてJV契約を打ち切ることで、それが出来ない場合でも、これまで明らかにされていないが、Xeroxは2020年に契約を終息するプロセスを始める権利を持つとしている。Xeroxは富士ゼロックスから製品の供給を受けているが、それまでに供給ソースを探すべきだとしている。

2018/2/22 ゼロックス大株主、富士フイルム以外への身売り提案

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富士フイルムは6月25日、「会計問題は解決済みであり、しかも経営統合に向けて、中国を含む全ての営業地域で監査済みであり、Xeroxの主張は正しくない」と反論した。

「内容は想定の範囲内である」とも指摘し、「Xeroxがアジアで販売することは現実的には非常に難しい」とコメントした。 今後は「当社の正当性を裁判を通じて訴えていく」としている。

このコメントからは、契約更新が無ければ、アジアでの販売権がXeroxに戻るというのは事実らしい。

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富士フイルムがXeroxの株式を過半数取得した上で富士ゼロックスと経営統合させる計画を、米ニューヨーク州のマンハッタン地方裁判所が暫定的に差し止める仮処分を下したことを巡り、同地裁の判事は6月21日、仮処分の取り消しを求めていた富士フイルムの請求を退けた。

Darwin Deasonが富士フィルムによるゼロックス買収は不正だとして、差し止めを求めた裁判で、4月27日に米国ニューヨーク州裁判所が、Darwin Deason の主張を認め、買収手続きの一時差し止めを認める仮処分命令を下した。

裁判では、富士フィルムとXeroxのメールが開示され、裁判官は、複数のメールを引用したうえ、当時のXerox社長らについて「自身の地位を守ろうとして富士フイルム側と協力した」などと認定し買収の暫定差し止めを命じ た。

Xerox は5月4日、異議申し立てをした。
「差し止め命令はニューヨークの法律に反する。買収提案を認めるかどうかは裁判所ではなく、Xerox の株主が決めるものだ」と主張し、裁判所による差し止めの無効を訴えた。

富士フィルムホールディングスも同日、異議申し立てをした。

米ニューヨーク州の裁判所は、上訴の審理を9月から始めると決めた。

2018/4/30 富士フイルムの Xerox買収、NYの裁判所が差し止め仮処分


富士フィルムは今回、Xerox株主とXeroxがもはや対立しておらず、法的な争いの終結を目指している点を指摘し、富士フイルムだけが仮処分の対象となるのは不当だとし、これが解除されなければ、Xeroxとアクティビストらは自由に富士フイルムを「攻撃」できると主張。仮処分を取り消すよう判事に求めたもの。

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