米上院、中興通訊(ZTE)に対する制裁の見直しに反対

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米上院は6月18日、2019会計年度の国防権限法案を賛成85、反対10で可決した。総額7160億ドル規模で、トランプ大統領が求める軍の強化を後押しするものである。

しかし、この法案に、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)に対する制裁措置の緩和を認めず、米製品の販売を引き続き禁止する条項を盛り込んだ。

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米商務省は6月7日、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)に対する制裁の見直しで同社と合意したと発表した。トランプ大統領が中国の習近平国家主席の要請を受け、決めた。

合意内容は次の通り。

ZTEが10億ドルの罰金を支払うほか、将来新たな法令違反があった場合に没収される4億ドルを預託する。

ZTEは30日以内に新しい取締役会や経営陣を決める。
再発防止を徹底するため、米国は自ら選んだ法令順守担当者を同社に送り込み、今後10年間監視する。

代わりに取引禁止を解く。

2018/6/8 米政府、中興通訊(ZTE)の事業再開認める

現在、預託金契約を巡る作業を行っており、作業の完了後に制裁が解除されることになる。

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ZTE は、米国の対イラン・北朝鮮禁輸措置に絡む2017年の和解合意に違反したとして米サプライヤーとの取引を禁じられたが、共和、民主両党は合意違反を受けて、ZTEは国家安全保障に対する脅威になっているとの懸念を示してきた。

ZTE はスパイ活動への協力がうわさされており、今回の制裁見直しについて「国家の安全保障を損ねる」と強い反発が出ていた。

下院は既に5月24日に国防権限法案を通しているが、この時点では制裁見直しは行われておらず、法案には制裁措置の緩和を認めない条項はない。

今後、上院と下院の法案をすり合わせ、一本化する必要があり、時間がかかる。

大統領は議会に法案からZTE に関する条項を外すよう要請する構えで、仮に法案が両院で可決しても、大統領は拒否権を発動できる。ただ、その場合は11月の議会間選挙を控え、与党共和党との関係が悪化する。

制裁解除に関する米政府合意に反対する米上院の与野党議員らは、トランプ政権の圧力に屈せず支持するよう下院議員らに呼び掛けた。圧力に屈すれば、経済と国防両面で米国の安全保障が損なわれ、ZTEが米国民に「スパイ行為」を働くことになると警告した。

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