旭化成は7月19日、米国の自動車内装材メーカーである Sage Automotive Interiors, Inc.を現金約700百万米ドルで買収することを決定したと発表した。
Sage社を100%保有するClearlake Sage Holdings, LLCとの間で合意した。
取得価額約700百万米ドルは、クロージング時点での現預金・借入金の残高や運転資金の増減等により変更される。なお、本取得価額にSage社の純有利子負債を加えて算出した買収価格は1,060百万米ドルとなる。
Sage社は自動車内装材に用いる各種繊維製品の開発・製造・販売を手掛けており、シートファブリック市場ではグローバルNo.1シェアを保持している。
同社の推移は下記の通り。
2009年に米国の繊維・化学品メーカーであるMilliken & Companyからスピンオフした。役員2人と投資会社のAzalea Capital, LLC. が買い取った。
2011年5月に、投資会社のThe Gores Group, LLCが買収した。
2014年10月に投資会社のClearlake Capital Groupが買収した。
同社は内装材に関する総合提案力、高いデザイン力、加工技術等により、自動車メーカーおよび部品メーカーに対し高いプレゼンスを有しており、ニット・織物の多様な技術的繊維を含め、車載用ボディークロスを世界の大手自動車メーカーに供給している。
生産拠点を米国、イタリア、ポーランド、ルーマニア、ブラジル、中国に持つ。
旭化成はスエード調人工皮革「ラムース」をSage社に販売しており、両社は従来より良好な関係を構築・維持してきた。
(Sage 社が「ラムース」を購入、染色などの加工を施した上で部品メーカー・ 自動車メーカーに供給している)
旭化成は、成長する自動車内装市場でのポジションを強化し、自動車分野向け事業の拡大実現を目指しており、 領域内横断で「自動車メーカーおよび部品メーカーとのコネクト(関係)強化」「グローバル拠点の確立」等に取り組んでいる。
自動車分野向け事業の拡大を加速させるためにSage社の事業を取り込むことを検討してきたが、2017年10月より両社で協議を始め、このたび本買収の合意に至 った。
買収を通じ、「川上」から「川中」へサプライチェーンを拡大する。
本買収による具体的な効果は以下のとおり。
自動車メーカーおよび部品メーカーに対するアクセスを強化し、自動車市場の動向やニーズを迅速かつ的確に把握
Sage社の有するマーケティング力・デザイン力と、 旭化成の有する繊維製品、樹脂製品、センサ等のさまざまな製品・技術を組み合わせて、車室空間に関する総合的なデザイン、ソリューションを提案・提供Sage社の営業・製造・マーケティング拠点を、旭化成のグローバル展開にあたっての経営インフラ・リソースとして活用
旭化成は2012年に米救急救命機器大手 Zoll Medical を約1800億円で、2015年に米セパレーター(絶縁体)メーカーのPolypore Internationalを約2600億円で買収しており、買収金額でそれらに次ぐ規模になる。
2012/3/19 旭化成、米国ZOLL Medical Corporationを買収
2015/2/26 旭化成、米電池素材会社Polypore International を買収
付記
Ziegler は、長年培ってきた不織布の生産・加工技術を応用し、優れた静音性能を有する吸音材製品を市場投入しており、欧州で高いシェアを誇っている。欧州の自動車市場においては、シートワディング材のリーディングメーカー。欧州に4ヵ所の工場を有し、2014年には中国・浙江省に工場を新設して、グローバル展開を加速している。
帝人は、この買収により、欧州、北米、アジアにおける生産・販売拠点を取得することとなり、今後、自動車事業のグローバル展開を加速していく。
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