EU、酸化チタンメーカー Toronox による同業のサウジのCristal 買収を条件付きで承認

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EUは7月4日、酸化チタンメーカー Toronox による同業のサウジのCristal 買収を条件付きで承認した。米国はまだ審査中。

付記

しかし、米国FTCは市場シェアが大きくなり過ぎるとし、反対した。

対策として、Toronoxは2019年3月、Cristalの北米事業をIneosに7億ドルで売却した。

Ashtabula Ohioの2工場を含む。塩素法でTiO2を生産する。中間体としてTiCl4も生産、外販もしている。


Tronox Limited は2017年2月21日、Cristal の酸化チタン事業を現金 1,673百万ドルと Tronox のClass A普通株24%で買収する契約を締結したと発表した。

現金部分は事業売却で賄うとし、アルカリ事業やその他の非コア資産の売却プロセスを進めるとした。

同社は2017年9月1日、Alkali Chemicalsを Genesis Energy, L.P. に売却したと発表した。
対価は運転資本106百万ドルを含め、1,325百万ドルとなっている。

合併により、新しいTronoxは8カ国に酸化チタン合計130万トンの11の工場を持つこととなる。(Tronox 465千トン、Cristal 858千トン)

原料鉱石事業の面でも、Tronoxの南ア2カ所、豪州2か所、Cristal のブラジル、サウジ、豪州2か所の合計8カ所で年間生産能力150万トンとなる。

Tronoxは豪州に登記上の本社を置き、米国を本拠とする。

2006年にKerr-McGee からスピンオフした。(Kerr-McGeeはその後、Anadarkoが買収)
その際に、Kerr-McGeeから環境汚染の復旧費用と訴訟費用などを引き継いだが、これが主因で2009年1月にChapter11を申請した。

20098月、HuntsmanTronox の主要資産の買収契約を締結したが、同年末にTronox はこの契約を破棄した。
   
2009/12/25 Huntsman による酸化チタンメーカーTronox の資産買収 破談に

2011214日、Tronox はChapter 11 から離脱、既存事業を再建した。

Cristal (The National Titanium Dioxide Company Ltd.) はサウジのTasnee(The National Industrialization Company)の子会社。

中東/北アフリカでの唯一のメーカーで、サウジのYanbu Al-Sinaiyah 工場で1991年から生産して いる。
2007年2月に、Lyondellから旧Millennium Inorganic Chemicalsの酸化チタン事業 (能力67万トン)を負債込みで12億ドルで買収。

2007/3/5 Lyondell、酸化チタン事業をサウジ社に売却

EUは、紙のラミネート加工分野で競争を制限する恐れがあるとの判断をしたため、Tronoxはこの用途の世界中の酸化チタン顔料事業を売却することを提案、EUはこれを条件に買収を承認した。

既に、サウジ、豪州、中国、ニュージーランド、トルコ、韓国、コロンビアの当局が買収を承認しているが、米司法省は競争上、問題があるとしている。

2017年の世界の酸化チタンメーカーの能力は次の通り。TronoxはCristal 買収で能力トップとなる。

Chemours (ICI) : 

2011/5/18  DuPont、酸化チタンの大増設計画発表

2015/6/12 DuPont、Performance Chemicals 事業を分離 The Chemours Company

Venator (Huntsman) :

ICIの酸化チタン事業はポリエステル事業と合わせDuPontへ売却する合意が一旦成立したが、酸化チタン事業については紐余曲折を経た後、1999年6月末にHuntsmanに売却された。

20098月、HuntsmanがChapter 11 を申請したTronox の主要資産の買収契約を締結したが、同年末にTronox はこの契約を破棄した。
   2009/12/25 Huntsman による酸化チタンメーカーTronox の資産買収 破談に

2017年にPigments and Additives をspin-offし、Venator Materials Corporationとした。
当初はTextile Effects部門も合わせて分離するとしていたが、この分離は取りやめた。

Huntsmanの歴史:2017/5/26 Huntsman と Clariantが統合(取り止め)の付記

Cristal (National Titanium Dioxide ) :

サウジのTasneeの子会社、上記

Lomon Billions (龍蟒佰利聯集團股份有限公司):

Henan Billions(河南佰利聯化学)と Sichuan Lomon(四川龍蟒集団)が2016年に合併した。

中国3か所に合計70万トンの工場を持つ。四川省攀枝花市に原料鉱山を持つ。

Tronox:上記

Kronos Worldwide, Inc.:

ノルウェー、ドイツ (2)、ベルギー、カナダ、米 (HuntsmanとのJVのLouisiana Pigment Co.)6工場 を持つ。
ノルウェー
に鉱山 。

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なお、東邦チタニウムは、サウジに Cristal(The National Titanium Dioxide)とその親会社のTasnee(The National Industrialization Company)とのJVでスポンジチタンを製造している。

 東邦チタニウムは2014年1月22日、サウジでスポンジチタンを製造販売するJVを設立する基本合意の覚書を締結したと発表した。

JVの相手は、サウジの酸化チタンメーカーのCristal(The National Titanium Dioxide)とその親会社のTasnee(The National Industrialization Company)で、Yanbu 工業団地のCristal の酸化チタン工場の隣に、年産15,600トンのスポンジチタン製造工場を建設する。投資額は約420 百万米ドルで、2016年末の完成を目指す。

 2016年3月3日、新会社設立を発表した。

JV名:Advanced Metal Industries Cluster and Toho Titanium Metal Company Limited
株主:東邦チタニウム 35.0%
Advanced Metal Industries Cluster Company Limited 65%
    (Cristal とTasnee の折半出資の投資会社)

 2017/6/1、スポンジチタン製造工場が竣工、2018 年初の商業生産開始を目指す。
  工場生産能力  スポンジチタン 15,600 t/年

2014/1/27 東邦チタニウム、サウジでスポンジチタンの製造販売JV 

東邦チタニウムはこの工場で、これまで日本のスポンジチタン製造において使用されていなかったチタンスラグ由来の四塩化チタンを原料とする。

Cristal は豪州にミネラルサンドの生産会社、Bemax Resources Ltd.を子会社として持つ。
Cristal は、Bemaxのイルメナイトを主な原料とするチタンスラグの工場をサウジアラビアに建設しており、ここでは標準的なTiO2純分のチタンスラグを生産する。
(Cristal とTasnee の折半出資のAdvanced Metal Industries Cluster が工場を所有する。)

スポンジチタンはこれを原料とする。

Tronoxは5月9日、このチタンスラグをつくる会社の90%をAdvanced Metal Industries Clusterから取得するオプション契約を締結したと発表した。
Tronoxはこの工場のスタートアップを支援する
Technical Services Agreement を締結している。





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