EUの欧州委員会は7月18日、米Alphabet Inc. 傘下のGoogle に43億4000万ユーロ(約5700億円)の制裁金を払うよう命じた。
携帯端末向けの基本ソフトAndroid を巡って、EU競争法(独占禁止法)に違反したと判断した。欧州委による独禁法違反を巡る単独企業への制裁金では過去最高額となった。
これを受け、Trump大統領は7月19日、Twitter で呟いた。
I told you so! The European Union just slapped a Five Billion Dollar fine on one of our great companies, Google.
They truly have taken advantage of the U.S., but not for long!
これまでの最高額は2017年6月に同じく Googleに支払いを命じた2,424,495 千ユーロで、ネット検索市場での支配的な地位を乱用し、商品価格を比較する際に同社のサイト Google shopping を競合他社のサイトよりも目立つように表示されるようにすることで、公正な競争を阻害したとした。Googleはこれを不服としてEU司法裁判所へ提訴し、法廷闘争が続いている。
2017/7/4 EU、Google に24億2千万ユーロの制裁金
今回、モバイルプラットフォームAndroidを採用するデバイスにGoogleのアプリをプリインストールさせ、モバイル検索やモバイルサービスにおける公正な競争を阻害していると判断した。
90日以内にGoogleが効果的な対策を講じなければ、Alphabetの毎日の世界の売上高の最大5%の罰金を追加で科す。
GoogleはGoogle検索アプリ(Google Search)で収入の大部分を得ている。
同社は早くから、デスクトップコンピューターからモバイルインターネットにシフトすると予想、ユーザーがモバイルでも確実にGoogle Search を使うよう動いた。
2005年にAndoroid社(2003年設立)を買収、それ以降、開発を続け、現在では欧州及び世界のスマホの約80%がAndroidで動いている。これとGoogle Search を結び付けた。
スマホ向けOSで圧倒的シェアを占める「アンドロイド」と自社製のアプリを「抱き合わせ」でメーカーなどに提供する戦略などが、他社のアプリを締め出して競争を損ねたと判定した。
具体的には、デバイスメーカーや通信キャリアに対して以下の3つの制限を設けることで、Andoridを通じて「モバイル検索サービス」「ライセンスを与えられるスマートモバイルOS」「Android用アプリストア」で市場を独占しているとしている。
1) Googleのアプリストア (Google Play Store)のライセンス条件として、Chromeブラウザ(Google Chrome browser) と Google検索アプリ (Google Search) のプリインストールをメーカーに要求。
Google Play Storeは、Android向けのコンテンツサービスで、Android搭載スマートフォン/タブレットで利用できるアプリ、映像、音楽、電子書籍などが配信されている。
欧州委員会の調査では、ユーザーはPlay Storeが入っているのが必須としている。
Googleは、Play Storeのラインセンスで、Google Chrome browser と Google Search をプリインストールすることを条件とした。
2) Google検索アプリ(Google Search)のみをデバイスにプリインストールする一部の大手メーカーやモバイルネットワークオペレータにインセンティブ支払い。
3) Googleのアプリのプリインストールを希望するメーカーが、Google版ではないAndroidフォーク (Androidのベース部分だけを使用、独自のアプリを採用するもの)を販売するのを妨げた。
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AppleのiOSやBlackberryもモバイルOSにブラウザや様々なアプリをプリンストールしている 。
それらはハードウェアとOS、ソフトウェアの統合によって自社製品の体験を向上させるものであり、サードパーティのデバイスメーカーへのライセンスは行っていない。
サードパーティへのライセンスを通じて大きな市場シェアを握るGoogleとは、ビジネスモデルが異なる。
Googleの場合、ライセンスを通じて多くのユーザーがAndroidを使用し、Androidにアプリを提供する開発者が増え、さらにユーザーが増加するネットワーク効果が、Googleのサービス分野に他社が参入するのを妨げる高い障壁になっているとしている。
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