中国、Micron製品の一部販売差し止め命令

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台湾の半導体大手、UMC(United Microelectronics Corporation:聯華電子)は7月3日夜、特許侵害などを巡り係争中の米Micron Technology に対し、中国・福州中級人民法院がUMCの主張を認め、MicronのDRAMやNANDフラッシュメモリー関連など26の半導体製品の販売を差し止める仮処分を下したと発表した。 陝西省西安の工場と上海の設計・営業拠点が対象。DRAMは2013年に買収した旧エルピーダメモリの広島工場でも生産している。


台湾の新竹に本社を置くUMCは、中国の半導体市場で事業を拡大している。中国のファウンドリーの運営の他に、さまざまな企業にメモリ技術のライセンスを提供している。
福建省晋華集成電路(
Fujian Jinhua Integrated Circuit Co., Ltd. : JHICC)は、56億5千万米ドルを投資して、福建省晋江市にUMCの技術を移管したメモリ製造工場を建設し ている。

UMCは2018年1月、Micronが中国で販売する製品が自社の特許を侵害したとして、福州中級人民法院に訴訟を起こした。プレスリリースで、「UMCは、徹底的な調査の結果、中国本土で販売されているMicronの製品が、当社の特許権を侵害していると判断し、公正な判断を仰ぐために特許侵害訴訟を起こした」と述べている。

特許を侵害しているとされる製品の製造、輸入、販売を禁止するほか、全ての在庫を破棄し、2億7000万元(約45億円)の賠償を 行うことなどを求めていた。

Micronの中国向け売り上げは2017年度で全体の5割強を占めている。

この問題はUMCとMicronの間の幅広い係争の一環である。

Micronは2017年12月、UMCがMicronの台湾拠点から人材を引き抜いて 半導体メモリーに関する企業秘密を不正に持ち出させたなどとして、営業秘密防衛法(Defend Trade Secrets Act)および不正収益・腐敗組織法(通称RICO法:Racketeer Influenced and Corrupt Organizations Act)の民事規定に基づき、UMCと JHICCを米カリフォルニア州の裁判所に訴えた。

以前Micronに勤めていた従業員が社外秘のメモリー・チップ設計図を持ち出してUMCに転職し、UMCがそれらの設計図を中国のJHICCに渡 したという。

Micron 傘下の瑞晶電子や華亜科技では、すでに多くの技術者や幹部が中国新興IC企業に転職している。Micronでは先端技術が流出するのを防ぐために、2017年初めの時点で傘下 の台湾企業従業員の中国転職の阻止に動いていた。台湾の検察当局に対し、技術流出に絡んだ特別調査に踏み切るよう要求している。

中国はメモリー製品の最大の輸入国で、世界のDRAMの20%を消費している。買収や提携を通じた自国の半導体産業育成を目指しているが、米国などが安全保障上の懸念を示しており、半導体の国産化は計画通りには進んでいない。


今回の販売差し止め仮処分には、NANDフラッシュメモリーやDRAMが対象に含まれている。

NAND型フラッシュ市場では、MicronはIntel とのJVをつくっているが、2019年にJV解消が決まっている。

DRAM価格が急上昇する中、中国当局はMicronや韓国の半導体メーカーの調査に乗り出している。

中国の独占禁止当局が米 Micronとサムスン電子、SKハイニックスのメモリー半導体3社による価格談合など独占禁止法違反の疑いで調査に着手した。国家市場監督管理総局傘下の反独占局の調査官らは5月31日、北京、上海、 深圳にある3社のオフィスを突然訪れ、検査を実施した。

2018/6/9 中国、米・韓の半導体3社を独禁法違反の疑いで調査

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米中間では知財関連の摩擦が深刻化している。

トランプ米大統領は3月12日、シンガポールに本社を置く通信用半導体大手Broadcom Limitedによる米Qualcomm Incorporatedの買収を禁じる命令を出した。Broadcomと華為技術の企業としての近さも警戒された」とされる。

2018/3/14 米大統領、BroadcomによるQualcomm買収禁止命令

これに対し中国商務部は翌月、Qualcommによるオランダの NXP Semiconductors 買収の承認を認めなかった。

2018/4/24 中国商務部、QualcommによるNXP買収の承認に慎重 

トランプ大統領は3月22日、米通商代表部(USTR)に中国の知財侵害に制裁関税を課すよう指示する大統領令に署名、USTRは4月3日、通商法301条に基づき、中国の知的財産の侵害に対して発動する制裁関税の原案を公表した。

これに対し、中国商務部は米国産の大豆やその他の農産物、自動車、化学品、飛行機など計106品目(2017年の輸入額は約500億ドル)に25%の関税をかける方針を発表した。

トランプ大統領は更なる追加関税を検討する方針を表明した。

7月6日に相互の最初の部分の課税が開始される。

時差の関係で中国に先に7月6日が来るが、商務部は「中国は決して先に引き金を引かない。ただ、仮に米国が追加関税措置を取れば、中国は国家と人民の利益を守るために反撃せざるを得ない」と述べた。中国税関総署も「米国からの輸入商品への追加関税は米国の追加関税が効力を発揮してから実施する」との声明を出した。

2018/4/5 USTR、通商法301条に基づく対中制裁関税案を発表、中国も対抗措置を発表 

2018/4/7 米、対中制裁追加を検討

米商務省は4月16日、中国通信機器大手の中興通訊(ZTE Corporation)がイランや北朝鮮に対し通信機器を違法に輸出していた件で、商務省との約束を守っていなかったため、米企業によるZTEへの製品販売を7年間禁止すると発表した。

両国トップの協議の結果、米商務省は6月7日、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)に対する制裁の見直しで同社と合意したと発表した。

但し、米上院がこれに異議を唱えている。

ZTEは取締役全員の退任と新会長指名を発表し、制裁解除の条件履行へと大きく前進している。

2018/6/22 米上院、中興通訊(ZTE)に対する制裁の見直しに反対

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